
Siris Pendrake氏を中心とする、わずか2人の開発チームによって開発されたイマーシブシム・FPS『Project Silverfish』が、Steamコミュニティで驚異的な評価を獲得している。2025年6月26日にアーリーアクセス版がリリースされた本作は、491件のレビューのうち97%が肯定的という、インディーゲームとしては異例の高評価を記録。「STALKER 2の平凡な提供物をかなり上回っている」という辛辣な比較コメントまで飛び出すほどだ。
舞台は「ウェストカルコサゾーン」と呼ばれる立入禁止区域。プレイヤーは借金を背負ったフリーランサー「継承者(Inheritor)」として、この危険極まりない土地に足を踏み入れることになる。目的は強力なアーティファクトの回収だが、そこには想像を絶する恐怖が待ち受けている。

本作の最大の特徴は、その圧倒的な緊張感と恐怖演出だ。アノマリーと呼ばれる超常現象は、STALKERシリーズのそれよりもはるかに脅威的で、プレイヤーに純粋な恐怖を植え付ける。エルドリッチアボミネーションや生きる影(Living Shadows)といった異形の存在が徘徊し、冷戦時代の地下研究所には人類絶滅の秘密が眠っている。
ゲームプレイは完全に自由。プレイヤーの選択によって体験が大きく変化する、真のイマーシブシムとなっている。武器は近接用のスレッジハンマーやカタナから、ボルトアクションライフル、ショットガン、弓といった遠距離武器まで多彩に用意。さらに6つのプリセットクラスとカスタマイズ可能なパークシステムにより、プレイスタイルの幅は無限大だ。

驚くべきはそのボリュームだ。「最大10分のゲームプレイを期待していたが、代わりに10時間得られた」「デモだけで37時間プレイしており、まだ終わらない」というレビューが示す通り、アーリーアクセス版とは思えないほどのコンテンツ量を誇る。レイドゾーン、製油所、デッドブリッジ、トンネルネットワークなど、探索すべき場所は膨大で、それぞれに独自の脅威と秘密が隠されている。
アーティファクトシステムも本作の重要な要素だ。発見したアーティファクトは「Eather(イーサー)」という特殊な物質でチャージすることで、まるで魔法のような効果を発揮。パッシブバフを付与するものから、エキゾチックな武器に加工できるものまで様々だ。レイスコアやスターダストといった貴重なアイテムは、謎の商人との取引にも使用できる。

本作は単なるFPSではない。契約やミッションを完遂するには、探偵のような推理力と観察眼が必要となる。他の探索者が残した手がかりを辿り、ゾーンの謎を解き明かしていく過程で、プレイヤーは人類の起源と絶滅に関する恐ろしい真実に直面することになる。
複数の派閥が存在し、それぞれが異なる思惑でゾーンの秘密を狙っている。軍事組織、カルト集団、革命家たち。誰を信じ、誰と協力するかはプレイヤー次第だ。場合によっては派閥に加入することも可能で、それによってストーリーの展開も大きく変化する。

グラフィックスは意図的にローポリなレトロスタイルを採用。Unreal Engineで構築されているにも関わらず、あえて選択されたこのビジュアルスタイルは、かえって想像力を刺激し、恐怖を増幅させる効果を生んでいる。サウンドデザインも秀逸で、環境音と相まって没入感は抜群だ。
開発者のSiris Pendrake氏は、以前にONYX CLADやADACAといった作品を手掛けており、その経験が本作にも活かされている。配信も推奨されており、YouTubeやTwitchでのプレイ動画投稿を歓迎。実際、多くの配信者がこの恐怖と緊張の体験を共有しており、コミュニティ主導の開発が進められている。
正式リリースは2025年第4四半期を予定。アーリーアクセス期間中も継続的なアップデートが約束されており、さらなるコンテンツの追加が期待される。29.99ドルという価格は決して安くはないが、すでに数十時間遊べるボリュームと今後の発展を考慮すれば、十分に価値のある投資と言えるだろう。
対応機種:PC(Windows 10/11 64bit) 発売日:2025年6月26日(アーリーアクセス) 価格:$29.99(約4,400円) 日本語:なし