忙しい現代人の「時間を尊重する設計」が評価の決め手
個人開発者のBarribob氏が2025年6月20日にSteamでリリースした魔法塔建築インクリメンタルゲーム『Tower Wizard』が、発売からわずか2週間で3,500件以上のレビューを集め、97%という驚異的な好評率で「圧倒的に好評」を獲得するという異例の大ヒットを記録している。
本作の最大の特徴は、多くのインクリメンタルゲームが抱える「終わりのない時間消費」という問題を解決した点にある。平均2-6時間でクリアできる明確なエンディングを持ち、プレイヤーの時間を尊重する設計が、幅広い層から支持を集めている

魔法使いとなって究極の塔を建設
『Tower Wizard』は、プレイヤーが魔法使いとなって巨大な魔法の塔を建設するクリッカー・インクリメンタルゲームだ。ゲームを開始すると、巨大なオーブが語りかけてくる。「魔力を与えてくれたら塔を建造してあげる」という取引からすべてが始まる。
ゲームプレイの流れは直感的でありながら奥深い。まず、オーブをクリック(または長押し)して魔力を収集。その魔力を使って「スピリット」を召喚すると、スピリットが「クラウドリング」を生み出し、自動でオーブをクリックしてくれるようになる。これにより、プレイヤーは放置しても魔力を獲得できる仕組みだ。

塔の建設が進むと「書斎」がアンロックされ、そこで「知識」という新たなリソースを生産できるようになる。知識は、より強力なアップグレードや新しい部屋の建設に必要となる重要な要素だ。さらに「森」では木材を、「銀行」ではコインを管理し、これらのリソースを駆使して塔をさらに高く、より効率的に発展させていく。
絶妙なバランス設計と中毒性
本作が多くのプレイヤーから絶賛される理由の一つは、そのバランス設計にある。Steam レビューでは「永遠に待つ必要がないアップグレードペーシング」「インクリメンタルゲームの中で最も魅力的で楽しい」といった声が多数寄せられている。
また、「プレステージ」システムも見逃せない。一定の条件を満たすと、進行をリセットする代わりに「祝福」と呼ばれる恒久的な強化を獲得できる。これにより、2周目以降はより高速でゲームを進行でき、新たな発見や最適化の楽しみが生まれる。CoDシリーズでお馴染みのシステムは、きっとやり込み心をくすぐるはずだ。

海外でも話題、日本でも大きな反響
本作の成功は海外にとどまらない。日本のゲームメディア「AUTOMATON」では「さっそく大好評」として特集され、Steam同時接続数が3,800人を突破したことも報じられた。
特に評価されているのは、魔法使いが各施設間を「テレポート」で移動する演出や、スピリットの自動魔法生成時の心地よいサウンドエフェクト、そして穏やかでリラックスできるBGMなど、細部にわたる丁寧な作り込みだ。
日本のプレイヤーからも「直感的な操作と多彩な強化要素でストレスなく楽しめる」「挑戦と成長の喜びを静かに楽しめる」といった評価が寄せられている。

開発者の思いやりが生んだ成功、”ゲーム作り”は「プレイヤーファースト」へ
Barribob氏は、自身のitch.ioページで積極的にプレイヤーとコミュニケーションを取り、フィードバックに真摯に対応している。「Steam版だけでなく、itch.ioでも製品版をリリースする」という約束も、コミュニティを大切にする姿勢の表れだ。
価格設定も良心的で、定価わずか$2.99(日本円約440円)。現在はリリース記念セールで10%オフの約315円で購入可能となっている。この手頃な価格設定により、「子どものお小遣いでも購入できる」として、幅広い年齢層からの支持を集めている。
開発者のBarribob氏は、前作『Magic Archery』でも「圧倒的に好評」を獲得した実績を持つ。短編でありながら高品質なゲーム体験を提供する同氏の手法は、今後のインディーゲーム開発の正道となるはずだ。

魔法使いとなって究極の塔を建設し、明確な達成感を得られる『Tower Wizard』。97%という驚異的な好評率が示すように、プレイヤーの時間を尊重した丁寧な設計が、真の意味でのゲーム体験を提供している。興味を持った方は、この機会にぜひプレイしてみてはいかがだろうか。
基本情報 Tower Wizard