
「中世の写本ってなんであんなに変なんだろう?」そう思ったことはないだろうか。ラッパを吹く尻、人面馬、天使と百合に囲まれた黄金の文字――中世の芸術家たちほど独創的なビジョンを持っていた人々はいない。『Scriptorium: Master of Manuscripts』は、まさにそんなあなた自身が中世の写本職人となり、自分だけの「写本工房(Scriptorium)」を経営するゲームだ。
開発はポーランドのYaza Games、パブリッシングはMythwright。Yaza Gamesは中世の写本をテーマにしたターン制ストラテジー『Inkulinati』の開発元としても知られているが、本作はそこから大きく方向転換し、戦略ではなくクリエイティビティと癒やしに焦点を当てた作品となっている。実際、『Inkulinati』のプレイヤーから「戦略よりも自由に創作したい」という声が多く寄せられたことが、本作誕生のきっかけになったという。
タイマーなし、プレッシャーなし――純粋な創作の喜び
本作の最大の魅力は、何よりもその自由度の高さだ。ゲームには「ストーリーモード」と「サンドボックスモード」の2つが用意されており、どちらもプレイヤーの創造性を最大限に引き出すよう設計されている。
ストーリーモードでは、自分のキャラクターを作成し、王国中の様々な依頼人から委託を受ける。騎士とカタツムリの壮大な戦い、平和と愛とペストの穏やかな情景、そして……咳払いをしたくなるような奇妙なリクエストまで。依頼内容は多岐にわたり、それぞれが王室のドラマの一部を形成していく。顧客は常に正しい――あなたの仕事は、彼らの願いをあなた自身のスタイルで楽しく実現することだ。

一方、サンドボックスモードは完全に自由な創作空間。依頼人も課題もなく、ただ真っ白な羊皮紙と、1000種類以上の中世アート素材、そしてあなたの無限の想像力だけが存在する。開発者は本作を「中世版Canva」と表現しているが、まさにその通りだ。招待状、カード、ステッカー、壁紙、ファンタジーマップ、映画やゲームの中世風再現、そしてもちろん――ミームまで、何でも作れる。
ドラッグ&ドロップで紡ぐ、歴史の深淵
創作の中心となるのは「コンポジション画面」だ。ここでは明暗さまざまな羊皮紙を選び、そこに中世アート素材を直接ドラッグ&ドロップしていく。素材ライブラリには1000種類以上の画像が用意されており、そのすべてが実在の中世美術に基づいている。獣や虫、王子や庶民、顔や尻、衣服、表情、植物、装飾マージナリア(余白装飾)など、あらゆるものが揃っている。

しかも、これらの素材はAI生成ゼロ、100%手描きで制作されている。開発チームは3年間にわたり、本物の芸術家と中世史の専門家たちが一つひとつ丁寧に描き上げた。この点は、昨今のAI生成コンテンツが溢れる中で、特筆すべき価値を持つ。プレイヤーからも「AIを使っていない」という事実が高く評価されており、Steamのレビューでもこの点に言及するコメントが多数見られる。
テキストも追加可能で、中世風フォントと装飾的な大文字を使って写本ページを完成させられる。日本語入力にも対応しているため、日本のプレイヤーも自由に文章を書き込むことができる。
工房を飾り、評判を高めよ

ただ写本を作るだけではない。本作では工房そのものをカスタマイズすることもできる。依頼をこなして稼いだお金で、家具、照明、タペストリー、花、窓、カーペットなどを購入し、あなたのScriptoriumを王国で一番居心地の良い工房に変えていこう。
依頼を成功させれば、王国中に作品が広まり、吟遊詩人や歴史家たちに何世紀にもわたって称賛される……かもしれない。もちろん、単に呪われたミームを量産するだけでも構わない。それもまた一つの芸術だ。
シェアして、世界に広めよう

本作はシェアを前提に設計されている。作成した作品はギャラリーに保存でき、印刷やSNSシェアに最適化されたPNG形式で出力可能だ。実際、リリース後わずか一週間で、プレイヤーたちがSNS上に投稿した作品は数千に及び、そのクリエイティビティの高さに開発チームも驚嘆したという。
D&Dのダンジョンマスターが中世ファンタジー設定のハンドアウトを作ったり、ウェディングの招待状をデザインしたり、あるいは単に友人を笑わせるためのネタ画像を作ったり――用途は無限大だ。
中世美術の「お茶目さ」を受け継いで
本作は全年齢向けだが、中世美術に詳しい人なら知っているように、当時の芸術には少し……お茶目なところがある。開発チームはこの伝統を受け入れ、オリジナルの写本職人たちが意図したとおりのユーモアを残している。漫画風の尻やイチジクの葉が必要そうな人物が登場することもあるが、すべてウインクを交えた軽妙なタッチで、露骨な解剖学的描写はない。

これは中世写本の特徴でもある「マージナリア(余白装飾)」文化の再現だ。歴史的な写本には、本文とは無関係な奇妙で滑稽、時には不敬なイラストが余白に描かれることがしばしばあった。本作はその精神を忠実に継承している。
Steamで圧倒的好評、98%の支持率
2026年4月17日にSteamで正式リリースされた本作は、リリース初日から大きな話題を呼んだ。本稿執筆時点で599件のレビュー中98%が好評という「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。プレイヤーからは「リラックスできる」「コージーで心地よい」「何時間でも遊べる」といった声が多数寄せられており、特に創作活動が好きな層やD&Dプレイヤーから熱烈な支持を受けている。

ある海外レビュアーは「TikTokのせいで、スケッチブックや塗り絵が300ドルのクレヨンを買わないと価値がないと思わせられる時代に、このゲームを買えばいい」とコメント。買い物依存を装った趣味ではなく、純粋な創作の喜びを味わえる本作の価値を端的に表現している。
また、開発チームは非常にコミュニティフレンドリーで、プレイヤーからの要望や提案を積極的に受け入れている。Discord上には専用のチャンネルが設けられており、「こんな素材を追加してほしい」というリクエストを受け付けている。
影響を受けた作品たち
開発チームによれば、ゲームプレイ面では『どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー』『Sticky Business』『Potion Craft: Alchemist Simulator』『Tiny Glade』などのコージーでクリエイティブなゲームからインスピレーションを受けたという。ビジュアル面では、12世紀フランスの写本「Bréviaire de Renaud de Bar」や、『Pentiment』『Kingdom Come: Deliverance』の美術が大きな影響を与えている。

実際、本作のアートスタイルは『Pentiment』と比較されることが多い。どちらも写本風のインクベースの美術を採用しており、視覚的にも中世という時代に根ざしている。ただし、ゲーム性は大きく異なり、『Pentiment』が物語駆動のミステリーアドベンチャーであるのに対し、本作は純粋な創作シミュレーションだ。
基本情報
開発: Yaza Games
販売: Mythwright
リリース日: 2026年4月17日
価格: 1,900円(通常価格)
プラットフォーム: PC (Steam)
プレイ人数: 1人
言語: 英語、日本語、中国語(簡体字・繁体字)、ポーランド語など22言語対応
ジャンル: シミュレーション、カジュアル、デザイン&イラスト
Steam評価: 圧倒的に好評 (98% – 599件のレビュー) <image>
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/3119540/Scriptorium_Master_of_Manuscripts/
公式リンク
公式サイト: https://www.yazagames.com/
X (Twitter): https://x.com/YazaGames
Discord: https://discord.com/invite/fgCE2W3f4J
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCYKm3NCYQU0BoK4TsZQdqTw


