「これ、Factorioの料理版じゃん!」と笑っていたら、気づけば深夜2時だった。『Snacktorio』レビュー

「これ、Factorioの料理版じゃん!」と笑っていたら、気づけば深夜2時だった。『Snacktorio』レビュー

執筆: みんなのインディー編集部更新: 2026年6月15日

「自動化ゲームって面倒くさそう……」——正直、筆者はそういうタイプの人間だ。コンベアベルトを繋いで、パイプを通して、機械を並べて……なにが楽しいんだろう? と思っていたことが、確かにあった。

しかし『Snacktorio』は違った。気づけば「もう1レベルだけ」を5回繰り返し、深夜2時に冷めたコーヒーを片手に「なんで乳製品が凝固するんだ!!」と叫んでいた。

「FactorioとCookingMamaが合体した」という最高の発明

『Snacktorio』は、UK拠点の小規模インディースタジオTNgineers(APICOやMudbornの開発元として知られる)と開発者ellraiserが手がける、レベル制の料理自動化ゲームだ。パブリッシャーはTNgineersとRekoupが共同で担当している。2026年6月4日にSteamにてリリースされ、現時点でのSteam評価は非常に好評(92%、96件)と高い支持を得ている。

ゲームの目標はシンプルだ。「世界を喰らおうとするモンスターたちにご飯を作って食べさせる」。プレイヤーは”Witchelin(ウィッチリン)”スター獲得を目指す料理人として、コンベアベルトや調理機械を駆使した巨大な自動化キッチンを設計・稼働させる。

でも、ただ機械を繋ぐだけじゃない。このゲームの天才的なところは、食材に”現実世界の料理ルール”を適用していることだ。

「乳製品は熱で凝固する」——食材が持つ個性こそが醍醐味!

本作の核心は、食材ごとに固有の「失敗条件」が存在することにある。

  • 乳製品は高温にさらされると凝固してしまう
  • ナッツ類はアレルゲンを周囲に拡散させる
  • 肉類は管理が雑だと食中毒を引き起こす
  • 生地(ドウ)は時間とともに膨張する

これらのルールは最初こそ「なんか面倒だな……」と感じるかもしれない。しかしいざ工場を設計し始めると、この制約こそがパズルの核になっていると気づく。「じゃあ乳製品ラインは熱源から離して……でも加熱調理が必要なレシピもあるから、ルートを分岐させて……」——この試行錯誤が、たまらなく楽しい。

開発者のellraiser氏自身が語っているように、「ルールを覚え、それを利用し、崩壊しない工場を作れ……たぶん」というコンセプトが本作の全てを物語っている。「たぶん」というのが実に正直で好ましい。

6つの島、55以上のレベル。飽きさせない構造設計

Factorioのような「無限に広がるサンドボックス」を期待すると少し方向性が違う。本作はあくまでレベル制だ。全6つの島を巡りながら、55以上のステージをクリアしていく形式をとっている。

この構造が絶妙に機能している。各島では新たな食材・機械・ハザードが導入され、プレイヤーはその都度「リセット」された状態で新しいルールを学ぶことができる。ひとつの巨大なベースがいつの間にか収拾不能になってしまう……という自動化ゲームあるあるの「迷子感」がなく、コンパクトなキッチンを毎回作り直す感覚が心地よい。

使える機械もユニークだ。通常のオーブンやブレンダーに加え、「ボイドパワー機械」「蒸気調理システム」「デザート専用多層コンベアベルト」「辛い料理の消化補助装置」など、ステージが進むにつれて次々と奇妙な機械が登場する。島を渡るたびに「次はどんなカオスな料理を要求されるんだ……」と期待が膨らんでいく。

惜しむべき点もある——やや説明不足な序盤チュートリアル

正直に言おう。序盤のチュートリアルはやや駆け足だ。自動化ゲームに不慣れなプレイヤーが「パイプの接続方向」「機械の向きと処理フロー」を直感的に理解するには、もう少し丁寧な誘導があっても良かったと感じた。

ただし、Steamに無料デモが用意されており、最初のいくつかのレベルを試遊できる。しかもデモのセーブデータは製品版に引き継げるという太っ腹仕様。「合うかどうか不安」という人はまずデモから入ることを強くお勧めしたい。

遊んで、世界の食糧問題にも貢献できる

本作の収益の一部は、飢餓対策・フードバンク・食品廃棄削減チャリティーへの寄付に充てられる。ゲームで「モンスターにご飯を作る」ことが、現実世界での食糧支援にも繋がるという粋な仕掛けだ。こういう誠実さが、TNgineersというスタジオへの信頼につながっている。

また、Steam Workshopによるカスタムレベルの作成・共有にも対応。コミュニティが活発になれば、ゲームの寿命はさらに延びるだろう。

「自動化ゲームは難しそう」「料理ゲームはぬるそう」——そのどちらの先入観も、本作の前では無意味だ。レベル設計の妙味、食材ルールのユニークさ、ちょうど良い歯ごたえ——どれをとってもインディーゲームならではの工夫が光る一作だ。$7.99(約1,200円)という価格も良心的で、コストパフォーマンスは抜群だと断言できる。

このキッチン、一度入ったら最後。気づいたら深夜2時になっている。


基本情報

項目内容
開発ellraiser
販売TNgineers / Rekoup
リリース日2026年6月4日
価格1,050円
プラットフォームPC(Windows / macOS / Linux)、Steam Deck対応
プレイ人数1人
言語英語(日本語未対応)
ジャンル自動化パズル、料理シミュレーション、2Dプラットフォーマー
Steam評価非常に好評(92% – 96件のレビュー)

購入リンク

Steam: https://store.steampowered.com/app/1902940/Snacktorio/


公式リンク

公式サイト: https://www.tngineers.com/snacktorio
X (Twitter): https://x.com/tngineers
Discord: https://discord.com/invite/C4C35apaT6?proof=5e705a629b79d54b

他の最新記事を見る

「それ、本当にフレンドの声?」プレイヤーの声を完璧に模倣するAIが恐ろしすぎる4人協力ホラー『MIMESIS』

「それ、本当にフレンドの声?」プレイヤーの声を完璧に模倣するAIが恐ろしすぎる4人協力ホラー『MIMESIS』

このゲーム、フレンドの声で話しかけてくるんです。敵が。 フレンドの声で。 「おーい、こっちに来て! スクラップあったよ!」と聞こえてきたとき、それが本当にフレンドなのか、それとも……と疑い始めた瞬間から、このゲームは別次

【レビュー】『Slots &Diapers』——おむつ×スロットの衝撃。最低最悪のナンセンスの皮を被った、脳汁ドバドバの超本格3層構造インクリメンタルゲーム!

【レビュー】『Slots &Diapers』——おむつ×スロットの衝撃。最低最悪のナンセンスの皮を被った、脳汁ドバドバの超本格3層構造インクリメンタルゲーム!

筆者は正直、最初にこのゲームを見かけたとき笑った。タイトルが「スロットとおむつ」である。ストアサムネイルには、スロットマシンをひたすら回すカジノフロアと、そこに広がる妙に賑やかな「事故」の形跡。「いや、なんやこれ……」と