
「パリング特化のメトロイドヴァニアって、正直しんどくない?」 白状すると、遊ぶ前の自分はそう思ってた。『Hollow Knight』のボス戦で指がつるほど死にまくった記憶がフラッシュバックして、「またあのヒリヒリする修行が始まるのか……」と、ちょっと腰が引けた。
でも、韓国の精鋭スタジオStudio Doodalが放った『ソラテリア』は、僕のそんな偏見を鮮やかに弾き返してくれた。0.15秒の火花に命を懸ける、ひりつくような緊張感と、ため息が出るほど美しい手描きアート。2026年のインディーゲーム界に現れた、最高に尖った新星を語らせてほしい。
パリングか死か――0.15秒の決断
本作の戦闘は徹底的にパリングに特化している。敵の攻撃をジャストタイミングで弾き返す瞬間、画面が青く爆発し、スローモーションが発動。その一瞬で繰り出されるカウンター攻撃が、敵のHPを大きく削り取る。この爽快感は、まさに『Sekiro: Shadows Die Twice』の狼が降臨したかのような感覚だ。
しかし、本作のパリング判定は極めてシビア。約0.12〜0.15秒という瞬き以下の時間枠で成功させなければならない。Steam レビューでも「パリングウィンドウが狭すぎる」という声が散見されるが、これこそが本作の核心だ。敵の攻撃モーションは99%が予備動作で、実際の攻撃は一瞬。つまり、反射神経ではなくパターン記憶が求められる。

さらに厄介なのが、主人公トットがパリングできるのは一方向のみという制約。多くのボスは体当たりや突進で主人公をすり抜け、背後から攻撃を仕掛けてくる。「今パリングしたのに!」と叫びたくなる瞬間が何度も訪れるが、これも計算されたゲームデザインだ。位置取り、タイミング、敵の行動パターン――すべてを読み切って初めて、真のパリング戦士となれる。
4段階の難易度設定が救世主
幸いなことに、本作には4段階の難易度が用意されている。最も簡単な難易度では、通常のガード(パリング失敗)でもある程度のダメージ軽減が可能になり、ストーリーを追いたいプレイヤーにも門戸が開かれている。
実際、海外レビュアーの中には「通常難易度でボス戦がきつくなり、最終的にはイージーモードに切り替えた」と告白する者もいた。恥じることではない。本作の真髄はストーリーと探索にもあるのだから。

逆に、難易度最高設定では文字通りの死にゲーと化す。Steam実績統計によれば、本作を100%クリアしたプレイヤーはわずか0.1%。「Five Warriors(五戦士)」ボス戦で難易度を下げざるを得なかったという証言も複数見られる。
40通りのパーツで紡ぐ、自分だけの戦士
本作の戦闘カスタマイズは驚くほど奥深い。コアストーンをインフレア(本作のスキルポイント)で強化し、40種類以上のパーツを組み合わせることで、プレイスタイルを自在に変化させられる。
パーツはHollow Knightの「チャーム」に相当するシステムで、特定の組み合わせで強力なシナジーを生み出す。近接特化、遠距離攻撃重視、回復特化、クリティカルビルドなど、可能性は無限大だ。
さらに、料理、精製、クラフトといった複数の強化システムも存在。敵が落とすOHN(ゲーム内通貨)は潤沢で、グラインドの必要性はほぼゼロ。セーブポイント(祭壇)でいつでもスキルポイントの再配分が可能なため、ボス戦ごとにビルドを変更する戦略的なプレイも楽しめる。
手描きの世界が語る、崩壊と希望の物語
かつて太陽の祝福を受けて繁栄した「ソラテリア」の地。しかし影の疫病が世界を蝕み、守護者である原初の炎(王)さえも姿を消した。記憶を失った小さな炎の戦士・トットとして目覚めたプレイヤーは、消えた王を見つけ、世界を救う旅に出る。

本作の手描きアートは圧巻だ。Studio Doodalの前作『LAPIN』で93%の高評価を獲得したアートチームが、さらに技術を研ぎ澄ませた。Unity URPとポストプロセッシングを駆使し、各バイオームに独自の質感と雰囲気を与えている。背景の汚れや陰影を個別アセット化し、再構成することで、手描き特有の密度を保ちつつパフォーマンスを最適化したという。
探索すればするほど、NPCとの会話や記憶の断片から世界の真実が明らかになっていく。サイドクエストをこなすことで、感染したボスたちの悲しい背景や、リットたち(本作の住人種族)の隠された物語に触れられる。儚げで可愛らしいキャラクターデザインと、陰鬱な世界観のコントラストが、プレイヤーの心に深く刻まれる。
批判も正直に――改善の余地はある
本作は決して完璧ではない。Steam レビューには以下のような批判も寄せられている:
- パリング方向が一方向のみで、敵の位置取りによっては理不尽な被弾が発生
- バリア持ち敵の仕様が未調整で、チャージアタックのメカニクスが破綻している
- プラットフォーミングの難易度がボス戦より高いという声も
- ごく稀に、ワールドに落下してリスタートを強いられるバグが報告されている

しかし、開発チームは非常に誠実だ。Steam コミュニティハブでは、プレイヤーからのフィードバックに丁寧に応答し、パッチv1.0.22では複数のバグ修正と調整が行われた。今後のアップデートで、さらなるブラッシュアップが期待できる。
Studio Doodalという希望
開発元のStudio Doodalは、韓国の6人の大学生が2019年に『LAPIN』の開発を目標に集まったことから始まった。2023年に法人化し、前作『LAPIN』でSteam評価94%「非常に好評」、Unity Korea Award グラフィック賞、GIGDC大賞を受賞。わずか数年で、世界に通用するインディースタジオへと成長した。

共同CEOのMinjeong KimとGyuwon Leeは語る。「大学時代に結成したチームで、『LAPIN』開発中に『自分たちのチームが最も得意とするアート』は何かを考え抜いた。当時、アートチームの独自の手描きイラストスタイルが、自然とゲームの特徴になっていった」
その美学を『ソラテリア』でさらに進化させ、より美しく多様な世界を描き出した。技術面でも妥協せず、手描きアートの質感とゲームパフォーマンスの両立に成功した彼らの姿勢には、深い敬意を覚える。
パリングの向こう側へ
『ソラテリア』は、パリングというたった一つのメカニクスを極限まで突き詰めた作品だ。その選択は賛否を呼ぶだろう。しかし、その先にあるのは、他では味わえない緊張感と達成感、そして美しい手描きの世界に没入する至福の時間だ。

『Hollow Knight』のファンなら、懐かしさと新鮮さを同時に感じるはず。『Sekiro』でパリングの快楽に目覚めた者なら、新たな挑戦の場がここにある。そして『Nine Sols』や『MIO: Memories In Orbit』で物足りなさを感じたプレイヤーにも、本作は新たな選択肢となるだろう。
Steam評価73%「やや好評」という数字は、本作の尖った性質を物語っている。万人受けはしないかもしれない。しかし、その尖った部分こそが、『ソラテリア』を唯一無二の体験にしているのだ。
パリングの瞬間、世界が止まる。青い光が爆ぜる。カウンターが炸裂する。
その一瞬に、すべてがある。
基本情報
開発: Studio Doodal
販売: SHINSEGAE INFORMATION and COMMUNICATION Inc.
リリース日: 2026年3月12日
価格: 2,300円(通常価格)/ 2,070円(10%オフ・期間限定)
プラットフォーム: PC(Steam)、Nintendo Switch(近日発売予定)
プレイ人数: 1人
言語: 日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)、ドイツ語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語の9言語対応
ジャンル: アクション、メトロイドヴァニア、ソウルライク、2Dプラットフォーマー
Steam評価: やや好評(73% – 114件のレビュー)※2026年3月16日時点
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/2947280/_/
公式リンク
X (Twitter): https://x.com/SolateriaGame
Discord: https://discord.gg/xkWM3mDPdQ
開発元公式サイト: http://studiodoodal.com/



