
「またデッキビルドローグライトか……」と思っていた筆者がいた。『Slay the Spire』以来、似たようなゲームがSteamに溢れかえっていて、正直なところ食傷気味だったのだ。しかし、『Die in the Dungeon』のストアページを眺めていたとき、思わず二度見してしまった。
「カードじゃなくて、サイコロ?」
そのたった一言の違いが、このゲームのすべてを変えている。4年の歳月をかけて開発チームATICOが磨き上げ、2026年5月1日にようやく正式リリースを迎えた本作。Steamでは1,500件以上のレビューで93%という「非常に好評」を獲得している——その理由が、プレイしてみてよくわかった。
サイコロがデッキになるって、どういうこと?
まず本作の根幹システムを理解しないことには始まらない。デッキビルドゲームといえば「カードを選んでデッキを構築し、ドローして使う」というのが定石だ。ところが本作では、そのカードがすべてサイコロに置き換わっている。
プレイヤーはターン開始時に、デッキからサイコロを「ボード」と呼ばれる戦闘フィールドに配置する。攻撃ダイス、防御ダイス、回復ダイス、そして他のダイスの効果を増幅させるブーストダイスなど、それぞれに役割がある。配置したらまとめて振る——この「一気に振る」という感覚が、カードゲームとはまったく異なる独特のテンポ感を生み出している。

重要なのは、「どのダイスをどこに置くか」という配置戦略だ。隣り合うダイス同士が連携してコンボを発動するものがあり、特定の位置関係でなければ効果が発動しないダイスもある。つまり、ただ強いダイスを並べればいいわけではない。ボードという2次元空間を意識しながら、最適な布陣を考える必要があるのだ。
カードゲームが「時系列」で考えるゲームだとすれば、本作は「空間配置」で考えるゲームと言えるかもしれない。この発想の転換こそが、ジャンルの食傷感を一気に吹き飛ばしてくれる。
ダイスの「顔」を育てる、もう一つの深み

本作がさらに奥深いのは、ダイスそのものをカスタマイズできる点だ。ダンジョンを進む中でダイスをアップグレードし、各面の数値や効果を改造できる。同じ「攻撃ダイス」でも、育て方次第でまったく異なる性質を持つ武器へと変貌する。
さらに「ダイスプロパティ」と呼ばれる特殊効果も付与可能で、現在のバージョンでは14種類以上が実装されている。例えば「デカダント」プロパティは振るたびに値が増加し続け、「グラス」プロパティは一度使うと砕けてしまう使い捨て仕様になる。リスクとリターンを天秤にかけながらダイスを育てていく感覚は、まるで自分だけの武器を鍛え上げているかのようだ。
そこにレリック(遺物)システムが加わる。100種類以上のレリックは強力な効果をもたらすが、強いものほど相応のデメリットも伴う。欲張りすぎてデメリットまみれになるのか、堅実にリスクを抑えるのか——この判断の連続がランごとに異なる物語を紡いでいく。

カエルの戦士たち、地下に潜る
ビジュアル面でも本作は愛おしい。主人公は小さなカエルの戦士。ピクセルアートで丁寧に描かれた世界は、タイトルの「Die(死ね)」という物騒な名前に反して、むしろ可愛らしくどこかコミカルな雰囲気が漂っている。
正式版1.0では4体目のキャラクターが追加され、パリィを軸とした全く新しいプレイスタイルが解禁された。各キャラクターは固有の開始ダイスセットとボードレイアウトを持ち、同じゲームとは思えないほど異なるプレイ感を体験できる。筆者は毒を操るキャラクターで毒蓄積コンボを組んでいたのに、ふと別のキャラクターを試したら完全に別ゲームで驚いた。
ダンジョンは3つのエリアで構成され、それぞれに固有の敵とボスが待ち受ける。序盤の「埋もれた都市」から「君主の森」へと進むにつれ、敵の戦略やボードへの干渉方法が複雑化していく。慣れたと思った頃に容赦なく難易度が上がるが、その歯ごたえこそが本作の醍醐味でもある。
正式版1.0で完成した「終わり」がある物語

長らくアーリーアクセスで展開されてきた本作だが、2026年5月1日の正式リリースでついに「真のエンディング」が実装された。真のラスボスと専用のエンディングムービー、全キャラクターの進行度システムやボス専用のレリック報酬など、ボリューム面でも大きく充実している。
難易度「D8」という新たな高難易度モードも追加され、コアなプレイヤーへの挑戦状も用意された。Steam Deck Verifiedも取得済みで、外出先でも快適にプレイ可能だ。
4年間コミュニティと共に歩んできたATICOの開発姿勢は、Steam掲示板やDiscordでの活発な交流に表れている。「コミュニティこそが開発の礎」という彼らの言葉は伊達ではない。
「またデッキビルドか」と思っている人へ

正直に言う。本作は既存のデッキビルドゲームに飽きた人にこそ遊んでほしい一作だ。サイコロという身近なものをゲームの核心に据えることで、「知っているようで知らない」新鮮な体験を提供してくれる。
配置を考える楽しさ、ダイスを育てる楽しさ、レリックで欲張る楽しさ——これらが絶妙なバランスで組み合わさり、「もう1ランだけ」を繰り返させる中毒性を生み出している。95%という直近のレビュースコアは、プレイヤーの満足度をそのまま映した数字だろう。
イントロダクトリー価格として、現在35%オフの1,105円で購入できる期間中に、ぜひ一度このサイコロの海に飛び込んでみてほしい。
基本情報
開発: ATICO
販売: HypeTrain Digital、Sidekick Publishing
リリース日: 2026年5月1日(Early Access開始: 2025年2月21日) 価格: 1,700円(イントロ価格1,105円※2026年5月16日まで)
プラットフォーム: PC(Steam)/ Steam Deck Verified
プレイ人数: 1人 言語: 日本語対応(全11言語)
ジャンル: ローグライト、デッキビルド、ターン制ストラテジー、ダンジョンクローラー
Steam評価: 非常に好評(93% – 1,588件)/ 直近30日:圧倒的に好評(95% – 109件)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/2026820/Die_in_the_Dungeon/
公式リンク
X (Twitter): https://x.com/DieInTheDungeon
Discord: https://discord.gg/die-in-the-dungeon-829107672912494613


