
このゲーム、何かがおかしい……
Steamストアページを見たとき、まず困惑した。「タワーサバイバー」? 車輪で動く街? 弓兵の見張り台やドラゴンを配置? 一体どういうことなのか、正直さっぱりわからなかった。

パッと見は『Vampire Survivors』のような見下ろし方のローグライトアクションに見える。だが、よく読むと「移動する街を守る」「資源を集める」「タワーを建てる」といった謎のワードが次々と飛び出してくる。
タワーディフェンスとヴァンパイアサバイバーズが融合? しかもそれが車輪で動く? なぜ?

そんな疑問を抱えながらも、Raw Furyという信頼できるパブリッシャー名と、Steam評価70%という数字に背中を押され、筆者は『Monsters are Coming! Rock & Road』の世界へと足を踏み入れた。
プレイしてわかった。このゲーム、本当に何かがおかしい。そして、めちゃくちゃ面白い。

主役は「街」、プレイヤーは消耗品
本作の最も衝撃的な設定は、プレイヤーが主役ではないという点だ。
主役は「タウンホール(街の中心)」。プレイヤーが操作するのは、その街を守るために働く名もなき労働者(ピーオン)だ。プレイヤーが死んでも、街のグリッド上に墓石が一つ置かれるだけ。すぐに新しい労働者が生まれ、何事もなかったかのように作業を続ける。

つまり、プレイヤーキャラクターは完全に消耗品。街を守るためなら、何度でも死ぬ。むしろ死ぬことが前提のデザインだ。
この発想、かなりダークだ。だが、可愛らしいドット絵のビジュアルと相まって、妙にコミカルに感じられる。墓石が街のグリッドに増えていくのを見ながら「また死んだわ」と笑えてしまう。

逆に、街のHPがゼロになればゲームオーバー。プレイヤーがどれだけ強くても、街が破壊されれば終わりだ。この「街を守る」という目的設定が、本作の独特なゲーム性を生み出している。
タワーを建てて、資源を集めて、モンスターを倒す
ゲームの流れはシンプル。街は自動的に南へ向かって移動し続け、プレイヤーは周囲に湧くモンスターの大群から街を守りながら、最終目標である「アーク(避難所)」を目指す。

プレイヤーキャラクターは自動で攻撃するため、操作は移動と回避がメイン。周囲に散らばる木、石、金を収集しながら、モンスターを倒して経験値を稼ぐ。
レベルアップすると、街に新しい建物を配置できる。弓兵の見張り台、死霊術師の塔、火を吹くドラゴン、ファームランド、石切り場……。選択肢はランダムに3つ提示され、そこから1つを選んで街のグリッドに配置する。

ここが本作の肝だ。街のグリッドは限られたスペースしかない。どこに何を置くかで、街の攻撃範囲や防御力が大きく変わる。
しかも、街のサイズが大きくなりすぎると、狭い道で引っかかってしまう。木や岩を事前に破壊して道を作らないと、街が進めなくなるのだ。

この「街のフットプリント(占有面積)」を意識したビルド構築が、本作のタワーディフェンス要素の核心。コンパクトに街をまとめるか、広範囲をカバーする大型の街にするか。プレイヤーの戦略が問われる。
「もう一回だけ」が止まらない中毒性
最初のプレイでは、正直ボコボコにされた。
モンスターの大群が次々と湧き、街はあっという間に包囲される。木を切っている余裕もなく、気づけば街のHPはゼロ。ゲームオーバー。

「なんだこのゲーム、難しすぎないか……?」
だが、不思議とリトライしたくなる。1ランは15〜30分程度で終わるため、「もう一回だけ」が止まらない。
そして、プレイを重ねるうちに、システムの妙が見えてくる。

木を集めると、タワーの攻撃速度が上がる。石を集めると、街のHPが回復する。金はショップで新しい建物を購入するために使う。
つまり、戦闘と資源収集を同時にこなす必要がある。モンスターを倒しながら、木を切り、石を砕き、金を掘る。マルチタスクが求められる緊張感が、本作の面白さだ。

さらに、ランを終えるごとに「コンパス」という通貨が手に入り、永続的なアップグレードを購入できる。タワーのダメージアップ、攻撃速度アップ、資源収集速度アップ……。
最初は「難しすぎる!」と思っていたゲームが、アップグレードと慣れによって、次第に攻略できるようになっていく。この成長曲線が絶妙だ。
10種類のタウンホール、4つの道、無限のビルド
本作には10種類のタウンホールが用意されており、それぞれ異なる特性を持つ。
ミラーシティは、配置した建物が鏡のように複製される。グレートドラゴンは、武器のリーチが大幅に伸びる。ベルフリーは、サモン(召喚)系の建物が強化される。

さらに、4つの道(エルダーウッドの道、氷の道、砂の道、灰の道)があり、それぞれ異なる景観とモンスターが待ち受ける。
難易度も4段階(ノーマル、ハード、エキスパート、ナイトメア)用意されており、何度プレイしても新しい発見がある。

「今回は回転ノコギリで攻めるビルド」「次は死霊術師の軍団で圧倒するビルド」「ドラゴンを3体配置して火力特化」……。ビルドの組み合わせは無限だ。
そして、上手くシナジーが噛み合ったときの爽快感は格別。モンスターの大群が矢と炎とネクロマンサーの呪いで瞬時に蒸発していく様は、まさに圧巻だ。
Steam Deck で遊ぶと、さらに危険
本作はSteam Deck 認証済みだ。
筆者はSteam Deckで遊んだのだが、これが大正解であり、同時に大失敗だった。

15〜30分で終わるランは、携帯ゲーム機との相性が抜群。ちょっとした空き時間に「もう一回だけ」と起動してしまう。
だが、気づけば2時間、3時間とプレイし続けている。「次こそアークに到着する!」という執念が、プレイヤーを止めさせない。
周囲の世界が見えなくなるほど夢中になってしまう。Steam Deckでのプレイは、中毒性を加速させる危険なドラッグのようなものだ。
唯一の不満点は、難易度の壁
本作には1つだけ気になる点がある。それは、ノーマルとハードの間の難易度の壁だ。
ノーマルをクリアできるようになった後、ハードに挑戦すると、急激に難易度が跳ね上がる。タワーのダメージが通らず、モンスターのHPが異常に高い。

この壁を越えるには、永続的なアップグレードを地道に積み上げる必要がある。つまり、グラインド(周回プレイ)が必要になる。
開発チームもこのフィードバックを受けて、難易度調整のパッチをリリース予定としているため、今後の改善に期待したい。
それでも、本作の価格は1,000円以下。この価格で数十時間遊べるコンテンツ量は、驚異的だ。
ローグライト好きなら絶対にハマる
『Vampire Survivors』が好きな人、タワーディフェンスが好きな人、ローグライトが好きな人。この3つのうち1つでも当てはまるなら、『Monsters are Coming! Rock & Road』は間違いなくハマる。
本作は、ジャンルの融合という野心的な試みを見事に成功させた作品だ。タワーディフェンスの戦略性と、ヴァンパイアサバイバーズの爽快感と、ローグライトのリプレイ性。すべてが高いレベルで融合している。
「もう一回だけ」が止まらないゲーム。それが『Monsters are Coming! Rock & Road』だ。
さあ、車輪で動く移動要塞を作り、モンスターの大群を蹴散らし、アークを目指そう。
基本情報
タイトル: Monsters are Coming! Rock & Road
開発: Ludogram
パブリッシャー: Raw Fury
配信日: 2025年11月20日
プラットフォーム: PC(Steam、Microsoft Store、GOG)、Xbox Game Pass
価格: 1,000円(Steam)※発売記念10%オフセール実施中
日本語: 対応(架け橋ゲームズによるローカライズ)
Steam評価: やや好評(70%)
プレイ時間: 1ランあたり15〜30分
難易度: 初心者向け〜上級者向け(4段階の難易度設定)



