ゾンビと人間の境界線で命運を握る『Quarantine Zone: The Last Check』。30万本突破の話題作が提示する、究極の道徳的ジレンマ

ゾンビと人間の境界線で命運を握る『Quarantine Zone: The Last Check』。30万本突破の話題作が提示する、究極の道徳的ジレンマ

更新: 2026年1月20日

「お前が検問所で間違いを犯せば全員死ぬ」

2026年1月12日にリリースされたばかりの『Quarantine Zone: The Last Check』が、発売から約2日で売上30万本を突破するという驚異的な記録を打ち立てた。Steam評価76%という賛否両論の評価を受けながらも、同接2万人を記録し、確実にゲーム界の話題をさらっている本作。しかし、実際にプレイしてみると、この数字以上に複雑で重層的な体験が待ち受けていることがわかる。

Papers, Please の精神的後継者として注目された理由

本作を最初に見た時、多くのプレイヤーが『Papers, Please』の精神的後継作として期待を寄せたのは当然だった。検問所で人々を選別するというコンセプト、一つひとつの判断が大きな結果をもたらす緊張感、そして背後に潜む道徳的ジレンマ──これらすべてが『Papers, Please』と共通していたからだ。

しかし、実際にプレイしてみると、本作は単なる模倣作品ではないことがすぐに理解できる。ゾンビウイルスの蔓延という設定により、間違った判断の結果がより直接的で残酷に描かれるのだ。感染者を見逃せば、翌朝には避難所が血の海と化している。逆に、健康な人を「処理室」に送ってしまえば、無実の人の命を奪うことになる。

検査システムの奥深さと技術的な課題

ゲームの核となる検査システムは、見た目以上に奥が深い。フラッシュライト、体温計、聴診器、X線装置など多彩なツールを駆使して、感染の兆候を見つけ出す必要がある。目の充血、皮膚の発疹、異常な体温、心拍数の変化──症状は多岐にわたり、時には複数の検査を組み合わせなければ判断できない場合もある。

しかし、ここで本作の大きな問題が浮き彫りになる。多くのプレイヤーが指摘しているのが、フラッシュライトの明度不足だ。「フラッシュライトが暗すぎて、症状を正確に確認できない」という不満が数多く報告されており、これが判断ミスを誘発する一因となっている。また、X線装置で禁制品が正しく表示されないバグも発生しており、技術的な完成度には課題が残る。

基地管理要素の物足りなさ

本作のもう一つの柱である基地管理要素は、残念ながら期待を下回る仕上がりとなっている。電力、食料、医薬品の管理は重要だが、実際の操作は「メニューでボタンを数回クリックするだけ」に簡略化されており、戦略性に乏しい。

初期のデモ版では、カートに物資を積んで手動で運ぶシステムが実装されていたが、製品版では削除されてしまった。この変更により、基地管理の体験がメニュー画面での数値管理に縮小され、没入感が大幅に削がれてしまっている。

道徳的選択の重みと現実的な議論

本作が他のゲームと一線を画しているのは、プレイヤーに突きつけられる道徳的選択の重さだ。「人道的な判断」と「効率的な運営」の間で揺れ動く心理状態は、現実の社会問題とも重なり合う。

特に興味深いのは、「研究のための犠牲」という選択肢だ。感染者や不明症状の患者を研究用に「提供」することで、新しいツールやアップグレードを獲得できる。この仕組みにより、プレイヤーは最初は人道的な選択を心がけていても、次第に効率性を重視するようになっていく心理的変化を体験することになる。

ドローン戦闘の必要性への疑問

5日ごとに発生するゾンビの襲撃では、プレイヤーはドローンを操縦してタワーディフェンス風の戦闘を行う。しかし、この要素は本作の核となる「慎重な検査と判断」のゲーム性から大きく逸脱しており、多くのプレイヤーから「不要」との声が上がっている。

検査ゲームを期待してプレイしたユーザーにとって、突然現れるアクションシーンは世界観を壊す要素として機能してしまっており、開発陣の方向性に疑問符が付く部分だ。

Dead by Daylight コラボが示す可能性

1月15日には、マルチプレイホラーゲーム『Dead by Daylight』とのコラボ要素が実装された。ドワイト・フェアフィールド、メグ・トーマス、クローデット・モレル、ジェイク・パークといったサバイバーたちが生存者として登場し、通常のNPCと同じように検問所に現れる仕組みだ。

このコラボは、本作の世界観を拡張する興味深い試みであり、今後のアップデートにも期待が高まる。ホラーゲームファンにとっては、馴染み深いキャラクターたちの運命を自分が握ることになるという、特別な緊張感を味わえるだろう。

バグ修正への開発陣の迅速な対応

発売直後に多くのバグが報告された本作だが、開発陣の対応は迅速だった。特に深刻だった「4日目のソフトロック問題」は、リリースから2日後には修正パッチが配信され、多くのプレイヤーから評価を得ている。

このような迅速な対応姿勢は、今後の継続的な改善への期待を抱かせる。技術的な課題は残るものの、開発陣がコミュニティの声に耳を傾けている姿勢は評価に値する。

プレイする価値は十分にある

技術的な問題や一部のゲーム性への疑問はあるものの、『Quarantine Zone: The Last Check』は間違いなく体験する価値のあるゲームだ。30万本という売上数字が示すように、多くのプレイヤーがこの独特な体験に魅了されている。

特に、自分の判断一つで多くの人の運命が決まるという重責感は、他のゲームでは味わえない緊張感を生み出している。毎日の検査業務を通じて、プレイヤー自身の価値観や倫理観が問われる体験は、ゲームを超えた深い思索へと誘ってくれる。

現在Steamで10%オフの2,070円で購入可能(1月27日まで)。PC Game Passでも配信されているため、アクセスしやすい環境が整っている。

基本情報

ゲーム名: Quarantine Zone: The Last Check
開発: Brigada Games
パブリッシャー: Devolver Digital
リリース日: 2026年1月12日
プラットフォーム: Steam, Microsoft Store, PC Game Pass
価格: 2,300円(1月27日まで2,070円)
日本語: 対応
Steam評価: やや好評(76%)
プレイ時間: 8-12時間(キャンペーンモード)
ジャンル: シミュレーション、ストラテジー

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