
核の大災害によって傷ついた1980年代のアメリカ。そこで目覚めたのは、人間の身体に閉じ込められたAI「R.E.A.C.H.」。自らを生み出したPhoenix Corporationの闇に満ちた陰謀を暴くため、腐敗した都市フェニックスシティを駆け抜ける――。
ベラルーシのインディースタジオSad Cat Studiosが8年の歳月をかけて作り上げた本作は、単なる「ピクセルアートのアクションゲーム」という枠を遥かに超えた、圧倒的な映像美と骨太なストーリーテリングが魅力の傑作だ。本稿執筆時点でのSteam評価は83%の「非常に好評」(3,331件のレビュー)を獲得し、海外メディアからも絶賛の声が届いている。
目が燃える。ピクセルアートの限界を超えた2.5Dの美学
本作の最大の魅力は、なんといってもビジュアル表現だ。一見するとドット絵のキャラクターが動き回る横スクロールアクションに見えるが、背景は3Dで構築され、そこにドット絵スタイルのテクスチャーとモダンなライティングが組み合わさっている。この「2.5D」という手法により、まるでピクセルアートが立体化したかのような、見たことのない映像体験が生まれている。

荒廃したディストピアの廃墟美も、サイバーパンク都市のネオンも、ひたすら美しい。炎や水面などのエフェクトはリアル系で描かれ、レイトレーシングによる光の表現が画面全体に深みを与える。ロトスコープのようなヌルっとしたキャラクターアニメーションは、『フラッシュバック』や『プリンス・オブ・ペルシャ』といったクラシックなシネマティックプラットフォーマーへのオマージュを感じさせる。
海外レビューでは「ピクセル調のグラフィックが、リアルな3Dと同じくらい美しいことを証明できる決定的な作品」(Metacriticより)と評されており、ゲームを動かしているだけで画面に見とれてしまう――そんな体験がここにある。
バットマン meets プリンス・オブ・ペルシャ。重厚な戦闘システム
ビジュアルだけでなく、本作はアクション性でも高い評価を得ている。戦闘システムは『バットマン:アーカム』シリーズのフリーフローコンバットに強くインスパイアされており、打撃・パリィ・カウンターの組み合わせが中心だ。しかし、動きは『REPLACED』のほうがはるかに重みを持ち、自然な流れの滑らかさを持っている。

敵の攻撃タイミングを見極め、パリィで弾く。3連続カウンターを要求してくる敵もおり、ボタンを連打するだけでは勝てない。特に高難易度でプレイする場合、一撃で死んでしまうこともあり、かなり厳しい状況が多い。それでも、正確なタイミングでパリィを決め、連続攻撃をつなげたときの爽快感は格別だ。
さらに、敵への攻撃を重ねることで溜まる「ハクスリーガン」のメーターが満タンになると、映画のようにスタイリッシュな「フィニッシャー」を繰り出せる。逆さ落としにした敵の顔面に銃撃を浴びせる――残忍で冷酷、そして容赦ない。まさに『REPLACED』が目指すそのものだ。

プラットフォームアクションも本作の重要な要素で、環境パズルを解きながら進んでいく。走る、登る、ジャンプする――流れるような動きで崩れた街を駆け抜ける体験は、まるでアクション映画の主人公になったかのようだ。
人間とは何か? AIが問いかける重厚なストーリー
本作の物語は、科学者ウォーレン・マーシュがコンピューターに接続された状態で研究を続けているところから始まる。彼が使用していたAI「R.E.A.C.H.」は、オーバーロードによってウォーレンを死なせ、その肉体に閉じ込められてしまう。肉と血の牢獄に囚われたR.E.A.C.H.は、助けを求めて逃げ出すが、企業警察に襲われ、奈落へと落ちていく――。

奇跡的に生き延びたR.E.A.C.H.(以下「リーチ」)は、人間の感情や本能と向き合いながら、フェニックスシティの隠された権力構造を暴いていく。人間性、アイデンティティ、支配――これらのテーマが、道徳的に複雑なキャラクターたちと、限界まで追い詰められた世界の徐々に明らかになる真実を通じて展開される。
本作の世界設定も興味深い。舞台は、第二次世界大戦末期にアメリカが日本ではなく自国の土地に核兵器を使用したというオルタナティブヒストリーの1980年代だ。核災害によって傷ついたアメリカで、富裕層のための壁に囲まれた都市エンクレーブ「フェニックスシティ」が形成され、貧しい者たちは臓器を搾取され、都市の外に捨てられる――。
開発者のイゴール・グリツァイ氏は「この物語は、自分が何も知らない無慈悲な世界に放り込まれた生命体の生存についての物語だ」と語っている。サイバーパンクのテーマは『アップグレード』や『ブレードランナー2049』といった映画にインスパイアされているが、アジア文化の役割を抑え、アメリカ文化に焦点を当てたレトロフューチャーな世界観が特徴だ。
光と影――賞賛と課題が共存する作品
本作は多くの賞賛を受ける一方で、いくつかの課題も指摘されている。特にプラットフォーミングの操作性やチェックポイントの少なさについては、複数のレビューで言及されている。

Steamコミュニティのレビューでは「ジャンプの判定が難しく、何度も同じ場所で失敗した」「チェックポイントが少なすぎて、ボス戦で死ぬとかなり前からやり直しになる」といった声も。また、ローンチ時にはカメラの不具合やアニメーションの重なりなど、技術的な問題も報告されている。
開発元のSad Cat Studiosは、Discordで「皆様のおかげで『REPLACED』は強力なデビュー成功を収めました」と感謝の意を表しつつ、「いくつかの粗削りな部分がある」ことを認め、今後のアップデートロードマップを公開する予定だと述べている。
ベラルーシからの奇跡――開発秘話
Sad Cat Studiosは、元々モバイルゲームしか手がけたことのなかった3人の創業者によって2018年に立ち上げられた。共同創設者のユーラ・ジダノビッチ氏は「もっとリスクが高く、複雑なものを作りたかった」と開発の動機を語っている。

当初はシンプルなインディーピクセルアートスタイルを採用していたが、やがて退屈になり、『ヘラクレス』『Tails Noir』『The Last Night』などにインスパイアされて2.5Dへと移行。最初は『フラッシュバック』や『アナザーワールド』のようなシネマティックプラットフォーマーを目指していたが、「視覚体験だけでポイントAからポイントBへ移動するゲーム」を作る予算がなかったため、戦闘システムを追加することにしたという。
2021年のE3で発表された本作は、当初2022年リリース予定だったが、複数回延期された。最大の理由はロシアのウクライナ侵攻だ。ミンスク(ベラルーシ)に拠点を置いていたスタジオは、戦争の影響を大きく受け、キプロスへの移転を余儀なくされた。そんな困難を乗り越え、ついに2026年4月14日、本作は世界にリリースされた。
一度は体験すべき、唯一無二の傑作
『REPLACED』は完璧な作品ではない。プラットフォーミングの操作性や技術的な問題、ペーシングの遅さなど、改善の余地はある。しかし、それでもなお、本作は2026年のインディーゲーム界で最も記憶に残る作品のひとつだ。

圧倒的なビジュアル、骨太なストーリー、そして手応えのあるアクション。Sad Cat Studiosのデビュー作としては驚異的なクオリティであり、今後の展開に大きな期待を抱かせる。

10〜12時間のプレイ時間で、あなたはAIの目を通して「人間とは何か」を問い続ける旅を体験する。すべての真実に、そしてすべての命に値段がある世界――その世界に、あなたも身を投じてみてはどうだろうか。
基本情報
開発: Sad Cat Studios
販売: Thunderful Publishing / Coatsink
リリース日: 2026年4月14日
価格: 通常価格 ¥2,570 (Steam)
プラットフォーム: PC (Steam, Microsoft Store), Xbox Series X|S
プレイ人数: 1人
言語: 日本語対応 (音声: 英語、テキスト: 日本語含む15言語)
ジャンル: 2.5Dアクションプラットフォーマー、サイバーパンク、ナラティブアドベンチャー
Steam評価: 非常に好評 (83% – 3,331件のレビュー)
Metacritic: 79点 (PC版、20件のレビュー)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/1663850/REPLACED/
Microsoft Store: https://www.xbox.com/en-us/games/store/replaced/9nv3l234vgxd
公式リンク
公式サイト: https://playreplaced.com/
X (Twitter): https://x.com/Replacedgame
Discord:https://discord.gg/g4vhpZayE3
YouTube: https://www.youtube.com/@ThunderfulGames
開発元サイト: https://www.sadcat.studio/


