ターン制なのにずっと俺のターン!『Vampire Crawlers』はコンボが止まらない悪魔的デッキビルダー

ターン制なのにずっと俺のターン!『Vampire Crawlers』はコンボが止まらない悪魔的デッキビルダー

更新: 2026年4月26日

Steamで本作を見つけたとき、正直なところ半信半疑だった。あの『Vampire Survivors』の開発元poncleが手がける新作スピンオフ──ターン制のデッキビルダー。一見すると、あの無限に敵を薙ぎ払う爽快感とは正反対のジャンルに思えたからだ。

だが、実際にプレイしてみると、筆者の予想は見事に裏切られた。いや、良い意味で。本作は「ターン制」という看板を掲げながら、実際には『Vampire Survivors』の狂気的な爽快感をそのまま保持している。むしろ、カードゲームというフォーマットに落とし込んだことで、さらに洗練され、さらに中毒性が増している。

マナ順に並べるだけで無限コンボ完成!?

本作の核心となるのが「Turboturn™」システムだ。これは驚くほどシンプルで、マナコストが小さい順にカードをプレイするだけで、後続のカードの効果が倍々に増幅していくという仕組みである。

例えば、0マナのカード→1マナのカード→2マナのカード……と昇順にプレイすると、コンボカウンターが積み上がり、ダメージやドロー効果が指数関数的に強化されていく。たった3枚でも3倍、5枚なら5倍、10枚連鎖すれば──画面が爆発する。

筆者が初めて20枚超のコンボを決めたときの興奮は今でも忘れられない。手札のカードを次々にプレイし、ドローカードが新たなドローカードを引き、マナ生成カードがさらにマナを生み出し、攻撃カードが敵の群れを一瞬で蒸発させる──。ターン制ゲームのはずなのに、まるで『Vampire Survivors』で武器が進化した瞬間のような全能感が襲ってくるのだ。

興味深いのは、この「マナ順」というルールが、複雑な判断を極限まで削ぎ落としている点だ。『Slay the Spire』のような骨太デッキビルダーでは、毎ターン「どのカードをいつ使うか」という思考が要求される。しかし本作では、基本的に「小さい数字から順に出す」だけ。思考停止で気持ちいい──これこそが『Vampire Survivors』DNA の正統継承である。

ジェムで魔改造、進化で圧縮──デッキ構築の快楽

もちろん、単純なだけでは飽きてしまう。本作が巧妙なのは、シンプルな基本ルールの上に、やり込み要素を何層にも重ねている点だ。

まず、各カードには「ジェムスロット」が設けられている。レベルアップや宝箱から入手できるジェムをカードに装着することで、「プレイ時に追加で1枚ドロー」「攻撃力2倍」「プレイ後に手札に戻る」など、強力な追加効果を付与できる。

特に「リターンジェム」は悪魔的だ。これを装着したカードはプレイ後に手札に戻るため、永久にコンボを繋ぎ続けられる。0マナのドローカードにリターンジェムを付ければ、それだけで無限ドローエンジンの完成である。

さらに、『Vampire Survivors』でお馴染みの「武器進化」システムも健在だ。特定の2枚のカードを揃えると自動的に進化し、1枚の超強力カードに合体する。これによりデッキが圧縮され、強いカードばかりが手札に来るようになる。

筆者は3周目にして、ようやく「ガーリックの槍」の進化条件に気付いた。ベースとなる槍カードと、聖水カードを同時に所持していると進化するのだが、この進化後のカードが異常に強い。1枚プレイするだけで周囲8マスを巻き込む範囲攻撃になり、さらにダメージ倍率も上昇する。このカードを軸にデッキを組み直したところ、それまで苦戦していたボスを一瞬で溶かせるようになった。

一人称ダンジョンクロウラーの緊張感

本作のもう一つの特徴が、一人称視点のダンジョン探索である。マス目状のマップを歩き、敵と遭遇したらカードバトル──この構造は1980年代の『Dungeon Master』や『Eye of the Beholder』といった古典的BLOBBERへのオマージュだ。

『Vampire Survivors』では画面全体を俯瞰できたが、本作では目の前の1マスしか見えない。角を曲がった先に敵が潜んでいるかもしれない。宝箱を開けたら罠が発動するかもしれない。この「見えない恐怖」が、カードバトルに独特の緊張感を与えている。

特に面白いのが、ダンジョン内に点在する「自販機」や「サクリファイスの祭壇」といったインタラクティブな要素だ。自販機にカードを捧げると、そのカードの効果が永続バフとして付与される。防御力カードを捧げれば常時1の防御力が得られ、ドローカードを捧げれば毎ターン自動で1枚ドローできるようになる。

この仕組みのおかげで、デッキから不要なカードを取り除きつつ、キャラクター自体を強化できる。まさに一石二鳥である。

下村陽子が奏でる、重厚なヴァンサバサウンド

音楽についても触れておかなければならない。本作のメインテーマを担当したのは、なんと『キングダムハーツ』シリーズや『ストリートファイターII』で知られる伝説の作曲家・下村陽子氏である。

『Vampire Survivors』のチップチューン調の軽快なBGMを下地にしつつ、オーケストラアレンジで重厚感を増した本作のサウンドトラックは、カードをプレイする指を止めさせない。特にボス戦のBGMは、コンボが繋がるたびに高揚感を煽り立て、思わず「もう1ターン!」と叫びたくなる魔力を持っている。

1,200円で何十時間も遊べる、圧倒的コスパ

本作の価格は1,200円(税込)。この価格で、膨大なアンロック要素と161個のSteam実績、そして50種類以上のキャラクター(Crawler)が用意されている。

各Crawlerは固有の初期デッキとアビリティを持ち、プレイ感覚がまったく異なる。アントニオは攻撃特化、イメルダはドロー特化、ポーは防御特化──といった具合に、キャラを変えるたびに新しいゲームを遊んでいるような感覚だ。

筆者は現在プレイ時間30時間を超えたが、まだアンロックしていないキャラやカードが山ほど残っている。Steam Deckでの動作も完璧で、「ちょっと1ラン」のつもりが気付けば2時間経過している──という事態が日常茶飯事だ。

Steamのレビューは記事執筆時点で7,459件中97%が好評。「圧倒的に好評」の評価を獲得し、最大同時接続者数は2万1,000人を超えた。海外レビューサイトMetacriticでは平均81点を記録しており、「中毒性の高さ」「ビルド構築の多彩さ」「コンボの爽快感」が高く評価されている。

プレイは自己責任で──悪魔的中毒性に要注意

「プレイは自己責任でお願いしたい」──海外メディアのレビューにあったこの一文が、本作を的確に表現している。

本作は、表面的にはシンプルなカードゲームだ。しかしその裏には、無限に広がるコンボの可能性と、「次はもっと強いデッキを組める」という誘惑が潜んでいる。一度始めたら、簡単には抜け出せない。

「あと1ラン」「あと1ラン」と繰り返すうちに、気付けば夜が明けている──。そんな経験を何度もした筆者から言わせてもらえば、本作は間違いなく2026年最高峰のデッキビルダーである。

『Vampire Survivors』が好きな人はもちろん、『Slay the Spire』の骨太な構築に疲れた人、カジュアルに遊べるデッキビルダーを探している人に、本作は全力でオススメできる。

ただし、大事な用事がある日の前夜にプレイすることだけは、絶対に避けてほしい。筆者のように、朝まで遊び続けて後悔することになるから。


基本情報

開発: poncle, Nosebleed Interactive
販売: poncle
リリース日: 2026年4月21日
価格: 1,200円(税込)
プラットフォーム: PC (Steam), PlayStation 5, Xbox Series X|S, Nintendo Switch, Nintendo Switch 2
プレイ人数: 1人
言語: 日本語、英語、他10言語(全12言語対応)
ジャンル: ターン制ローグライトデッキビルダー、ダンジョンクロウラー
Steam評価: 圧倒的に好評 (97% – 7,459件のレビュー)

購入リンク

Steam: https://store.steampowered.com/app/3265700/Vampire_Crawlers_The_Turbo_Wildcard_from_Vampire_Survivors/

公式リンク

公式X (Twitter): https://twitter.com/poncle_vampire
Discord: https://discord.gg/vampire-survivors
YouTube:https://www.youtube.com/ponclegames

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