
「マルチ向けのボードゲームって、結局みんな同じことやるだけでしょ?」
しかし、アイスランドの小さなスタジオが送り出した『Walk of Life』は、そんな先入観を気持ちよく打ち砕いてくれた。就職、学費、家賃、食事、衛生管理——まったくゲームらしくない日常のタスクを、最大6人で奪い合うように処理していくこのゲームは、妙なリアリティと馬鹿げたカオスを同時に成立させている。
そして何より、笑いながら人生の理不尽さを味わえるという点が、他のパーティーゲームとは一線を画している。

「人生」をボードゲームに落とし込んだらこうなった
『Walk of Life』は、ターン制のライフシミュレーターだ。プレイヤーは仮想の街「カリコルニア」を舞台に、職場、大学、アパート、食料品店、アーケードなどの施設を移動しながら、自分のキャラクターの人生を管理していく。
基本的なルールはシンプルだ。各ターンで移動できる歩数は限られており、食事・睡眠・衛生・ストレスといった生命維持ステータスが常に減り続ける。仕事をして稼ぎ、学校で学び、食べて、寝て——それだけのことなのに、時間が圧倒的に足りない。
たとえば「今日こそ昇進試験を受けよう」と思っていたら、先にお腹が空いて動けなくなる。仕方なくファストフード店に寄ったら今度は衛生値が落ちてシャワーを浴びないといけない。シャワーを浴びに帰ったらもうターンが終わっている——このサイクルが、妙に現実の会社員生活を想起させるのだ。
「ワーカホリック」「スカベンジャー」「ミスティック」——キャラクターの「役割」がゲームを変える
本作の最大の特徴が、ゲーム開始時に選択するロール(役割)システムだ。

各ロールには独自のプレイスタイルと固有のクエストが設定されており、勝利を目指すための「人生の方針」が根本から変わる。たとえば——
- ワーカホリックは、コツコツ稼いで出世階段を駆け上がることに特化した働き者。仕事効率がアップするが、プライベートの余裕はほぼない
- スカベンジャーは、街に散らばる価値あるアイテムを掘り起こしてポイントを稼ぐ探し屋。行動パターンが他のプレイヤーとまるで異なる
- ミスティックは、星座の運勢に従って行動する不思議な役割。占いに従えばボーナスが得られるが、無視すれば痛いペナルティが待っている
同じボードを共有しながら、6人全員が「自分の人生」を生きている感覚——これがマルチプレイ時の独特の面白さを生み出している。
イカれた「週末イベント」が人生を狂わせる
生活を順調にこなしていると思ったら突然やってくる——それが週末イベントだ。

火事、不景気、病気の流行、強盗……まるで人生の理不尽をゲームに詰め込んだかのように、プレイヤーの計画を台無しにするイベントが次々と押し寄せる。冷蔵庫が突然壊れたり(前作『No Time to Relax』では文字通り「冷蔵庫が燃える」)、銀行がストライキを起こしたりと、その内容は笑えるほど的外れだ。
だが不思議と、この「何かに邪魔される感覚」が人生の本質をついていて、プレイヤー同士で「うわ、最悪!」「わかるわ〜」という共感を生む。パーティーゲームとしての一体感が、このシステムで生まれるのだ。
6人で喧嘩するもよし、ソロで黙々と生き延びるもよし
対人戦(PvP)の側面が強い本作だが、ボット対戦やソロプレイにも対応している。一人でじっくりキャリアを積む「人生シミュ」としても十分に遊べる設計だ。

また、ゲームの長さも「ショート(10ラウンド)」「ミディアム」「ロング(20ラウンド以上)」から選択可能。5人で20ラウンドのゲームを遊ぶと3〜4時間かかることもあるが、コミュニティからの要望を受けてセーブ機能の実装も進んでいる。
Steam評価は93%(Very Positive)を維持しており、特に早期アクセスゲームとしては異例の高評価だ。約12,900人のオーナーを持ち、平均プレイ時間は12時間。パーティーゲームにしてはしっかりと遊ばれているのがわかる。
アイスランドから生まれた「人生の風刺」
開発元のPorcelain Fortressは、アイスランドの首都レイキャビクを拠点とする小さなスタジオだ。前作『No Time to Relax』(2019年)がストリーマーの間で口コミで広がり、30万本以上を売り上げたことで一気に注目を集めた。

代表のBjörn Elíeser Jónssonは取材でこう語っている——「『Walk of Life』は、前作でプレイヤーが攻略法を見つけてしまった問題を解決したかった。もっと深みを、もっとワクワクを、もっとサプライズを」と。
300万ドルの資金調達に成功し、CCP Games(『EVE Online』の開発元)やRovioのOBを含む13人体制で開発された本作は、現在も精力的にアップデートが続いている。コミュニティ投票で次のロールを決める試みや、定期的なバグ修正など、開発陣のゲームへの愛情が随所に感じられる。
まだ早期アクセスなのに、もう完成してる気がする
正直に言うと、筆者は最初「早期アクセスか、様子見かな」と思っていた。しかしいざプレイしてみると、コアな面白さはすでに完成の域にある。

ロールシステムによる多様な戦略、週末イベントが生むドラマ、6人の生活が同じボード上で交差する緊張感——これらは「アーリー」という言葉を忘れさせるほどの完成度だ。
一方で、セーブ機能の整備や一部バランス調整など、まだ伸びしろもある。それでも今の段階で十分楽しめるし、むしろ成長を見守りながら遊べるのが早期アクセスの醍醐味でもある。
友達と「人生の理不尽さ」を笑い飛ばしたいなら、今すぐカリコルニアへ飛び込もう。
基本情報
開発: Porcelain Fortress
販売: Porcelain Fortress
リリース日: 2026年5月1日
価格: 2,400円
プラットフォーム: PC(Steam)
プレイ人数: 1〜6人(ローカル/オンライン対応)
言語: 日本語対応あり
ジャンル: ライフシム / パーティーゲーム / ボードゲーム / カジュアル
Steam評価: Very Positive(93% ポジティブ・533件のレビュー)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/1910150/Walk_of_Life/
公式リンク
公式サイト: https://www.porcelainfortress.com/
X (Twitter): https://x.com/porcelainfort?lang=en
Discord: https://discord.gg/4dzzMryWBe


