呪いに縛られた海賊の復讐劇『Captain Bones:海賊の冒険』。手作りの島々で紡がれる本格海賊サバイバル

更新: 2025年8月18日
呪いに縛られた海賊の復讐劇『Captain Bones:海賊の冒険』。手作りの島々で紡がれる本格海賊サバイバル

海賊映画を見た後のワクワク感が、ついにゲームで味わえる

Steam で 83% の高評価を獲得している『Captain Bones: 海賊の冒険』。タイトルから察するに子ども向けの海賊ごっこかと最初は思ったが、実際にプレイしてみると骨太なサバイバル要素と重厚なストーリーが織り成す、大人も十分楽しめる本格派の海賊アドベンチャーだった。

夜になると骨に変わってしまう呪いを背負った元船員が、自分の船と乗組員を手に入れて海賊キャプテンへと成り上がっていく——そんな王道でありながらも独創的な物語が、プレイヤーを魅力的な海賊世界へと誘う。

一介の船員から恐れられる船長へ。呪いが物語を彩る成り上がりストーリー

物語の主人公は、かつて普通の海賊船の船員だったキャプテン・ボーンズ。船が沈没して無人島に流れ着いた彼には、夜になると骸骨に変身してしまうという奇妙な呪いがかけられている。この呪いこそが、本作の物語を特別なものにしている要素だ。

呪いは単なる設定上の飾りではない。夜間になると実際にキャラクターの見た目が骨になり、特定の能力が変化する。最初はデメリットでしかないこの呪いだが、ゲームを進めることで徐々にその力を制御し、最終的には自分の武器として活用できるようになる独特なシステムが組み込まれている。

ゲームの目標は明確だ。呪いを解くか、それとも呪いの力を完全に自分のものにして海賊として名を馳せるか。プレイヤーの選択と行動が、キャプテン・ボーンズの運命を決定づけていく。

海賊らしさを追求したサバイバルシステム

本作のサバイバル要素は、一般的なクラフトゲームとは一線を画している。無人島からスタートしたプレイヤーは、まず生存に必要な道具を作ることから始めなければならない。木材を集めて武器を作り、食料を確保し、最初はシンプルないかだから船作りをスタートする。

特筆すべきは風のシステムだ。帆船での航海では風向きを読み、マストの角度を調整して効率よく進む必要がある。単純に前進ボタンを押すだけでは進まない、本格的な帆船操縦が要求される。このリアルな航海システムが、プレイヤーを本当の海賊キャプテンになった気分にさせてくれる。

また、天候システムも秀逸だ。嵐の中での航海は視界が悪くなり、高波に船が翻弄される。火山の噴火に遭遇すれば、飛んでくる溶岩弾を避けながら航海を続けなければならない。こうした自然の脅威が、海賊としての冒険にスリルを与えている。

乗組員管理が生む戦略性。忠誠心を保て、さもなくば反乱だ

ひとりの海賊では限界がある。本作では乗組員の雇用と管理が重要な要素となっている。乗組員たちにはそれぞれ個性があり、得意分野も異なる。料理が上手な者、戦闘に長けた者、航海術に優れた者——適材適所での配置が船の運営を左右する。

だが乗組員たちは単なる道具ではない。彼らには士気があり、長期間宝が見つからなかったり、食料が不足すれば不満を募らせる。最悪の場合は反乱を起こし、プレイヤーを船から追い出すことさえある。

逆に、成功した略奪や宝探しで乗組員たちの忠誠心を勝ち取れば、困難な状況でも力を貸してくれる頼もしい仲間となる。この絶妙なバランス感覚が、単純なアクションゲームではない戦略的な面白さを生み出している。

海戦の緊張感と宝探しのロマン

海賊ゲームの醍醐味といえば、やはり船同士の戦闘だ。『Captain Bones』の海戦は、リアルタイムで進行しながらも戦略性を重視したシステムになっている。風向きを利用した位置取り、大砲の射程と装填時間の管理、そして敵船への乗り込み戦闘まで、海賊映画さながらの本格的な海戦が楽しめる。

敵を倒すことだけが目的ではない。船を沈めるより生け捕りにした方が、より多くの物資を手に入れることができる。また、海軍に追われている身である以上、時には戦闘を避けて逃走する判断も必要だ。

宝探しもまた、本作の大きな魅力のひとつ。手に入れた宝の地図を頼りに、隠された財宝を探し出す過程は純粋にワクワクする。島の形状や目印から宝の在り処を推理し、実際に宝箱を掘り当てた時の達成感は格別だ。

手作りの愛が感じられる魅力的な島々

本作で特に印象的なのは、すべての島が手作りで丁寧に作られていることだ。同じような地形の使い回しはほとんどなく、それぞれの島に個性がある。美しい熱帯のビーチ、険しい岩山、古代遺跡が眠る神秘的な島——どの島も探索する価値がある。

島々には現地の住民もおり、彼らとの関係を築くことで様々な恩恵を受けられる。友好的な関係を維持すれば物資の補給や修理サービスを受けられるが、敵対すれば港への入港を拒否されることもある。この人間関係の要素が、単純な略奪ゲームとは一味違った深みを与えている。

7年の開発期間が生み出した完成度

開発には7年もの歳月がかけられており、その愛情と情熱は随所に感じられる。特に印象的なのは、開発者が「夢のゲームを実現するため」と語る、プレイヤーの要望を積極的に取り入れる姿勢だ。

Steamのレビューを見ると、「Sea Dogs シリーズよりも面白い航海システム」「Assassin’s Creed Black Flag のような海戦の楽しさ」といった、往年の海賊ゲーム愛好家からの高い評価が目立つ。確かに、本作には過去の名作海賊ゲームの良いところを受け継ぎながらも、独自の魅力を持った仕上がりになっている。

アーリーアクセス期間中の継続的なアップデートにより、現在では完全版として十分に楽しめるボリュームとなった。新しい船、隠されたダンジョンエリア、そして物語の完結まで、海賊ファンなら間違いなく満足できる内容だ。

まとめ:海賊になる夢を叶えてくれる一作

『Captain Bones: 海賊の冒険』は、単なる海賊ごっこゲームではない。呪いという独特な設定を軸にした重厚なストーリー、リアルな帆船操縦、戦略的な乗組員管理、そして本格的な海戦と宝探し——海賊に憧れを抱く全ての人の期待に応えてくれる、本物の海賊体験を提供してくれる作品だ。

確かに最初は操作に戸惑うかもしれない。風のシステムや乗組員管理など、覚えることは多い。しかし、それらを習得した時の達成感と、自分だけの海賊伝説を築いていく楽しさは何物にも代えがたい。

海賊映画を見て「自分も海賊になりたい」と思ったことがあるなら、『Captain Bones: 海賊の冒険』はその夢を叶えてくれるはずだ。呪われた海賊キャプテンとして、カリブの海に自分だけの伝説を刻んでみてはいかがだろうか。

基本情報

ゲーム名: Captain Bones: 海賊の冒険
開発: World of Poly
販売: World of Poly, ATOM
プラットフォーム: Steam
価格: 2,050円
日本語対応: フル対応(テキスト・インターフェース)
プレイ人数: 1人(シングルプレイヤー専用)

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