
一つ一つのブロックに人類の希望を込めて……
「RTSにレゴを混ぜたらどうなるか?」なんて突拍子もないアイデアを聞いたとき、正直「どういうこと???」って困惑したのが最初の印象だった。でも実際にプレイしてみると……これがとんでもなく面白い!!!

Steam で 90% という驚異的な高評価を誇る『Cataclismo』は、Digital Sun Games が手掛ける要塞建築リアルタイムストラテジーゲーム。同スタジオは店主となって冒険とお店経営を両立する『Moonlighter』や、リーグ・オブ・レジェンズの世界を舞台にしたアクションRPG『The Mageseeker』などで高い評価を獲得しており、本作が満を持しての最新作となる。2024年7月に早期アクセス開始、2025年3月に正式版がリリースされた。

この世界は「カタクリスモ」と呼ばれる大災害によって荒廃し、毒の霧に包まれた終末世界と化している。人類は「最後の都市」に身を寄せ合い、夜ごと襲い来る「ホラーズ」と呼ばれる化け物たちから生き延びている。プレイヤーは謎に満ちた指導者アイリス様の指揮のもと、遠征隊を率いて霧に覆われた土地を探索し、人類の生存圏を拡大していく……というのがストーリーの大筋だ。
一つ一つブロックを積み上げる、究極の建築体験
『Cataclismo』が他のRTSと決定的に違うのは、建物の建て方にある。普通のストラテジーゲームなら「城壁」というアイコンをクリックして配置すれば終わりだが、本作では文字通り一つ一つのブロックを積み上げて構造物を作り上げなければならない。

石材、木材など100種類以上のピースを組み合わせ、自分だけの要塞を築く感覚はまさに大人版レゴブロック。螺旋階段を作って弓兵の射撃位置を確保したり、多層防御を組んで敵の侵入を阻んだり……建築の自由度は驚くほど高い。しかもただの見た目だけじゃなく、物理演算がしっかりしているので、構造的に無理がある建物は崩れてしまうのだ。
この「ブロック建築システム」が面白いのは、プレイヤーの創造性と戦術性を同時に刺激してくれるところ。高いところに弓兵を配置すれば攻撃力にボーナスが付くし、爆弾兵は近距離でこそ真価を発揮する。だから自然と「どういう配置なら最も効率的に敵を倒せるか?」を考えながら建築することになる。

最初は「面倒くさそうだな……」と思っていたが、慣れてしまうと病みつきになる。特に自分が苦心して作った要塞が敵の猛攻に耐え抜いたときの達成感は格別だし、逆に設計ミスで崩壊したときの絶望感もまたリアルで良い。
昼は建築、夜は防衛 緊張感と創造性の絶妙なバランス
ゲームの基本的な流れは非常にシンプル。昼間は資源を集めて要塞を建設し、夜になると波状攻撃を仕掛けてくる「ホラーズ」を迎え撃つ。この昼夜のサイクルが絶妙な緊張感を生み出している。
昼間のフェーズでは時間制限がないので、じっくりと要塞の設計を練ることができる。木材や石材の確保、兵士の配置、防御施設の強化……やることは山ほどあるが、一つ一つ丁寧に進めていけば確実に要塞は強くなっていく。

そして夜が来ると一転、リアルタイムでの防衛戦が始まる。霧の中から現れる得体の知れないクリーチャーたちが、容赦なく要塞に襲いかかってくる。弓兵に射撃を命じ、大砲で敵の大群を薙ぎ払い、それでも押し寄せる敵に対して爆弾兵を前線に送り込む……。
特に印象的だったのが、建物の破壊がリアルに表現されること。物理演算によって崩れ落ちるブロックは敵だけでなく味方の兵士も巻き込んでしまうので、戦術的な配置がより重要になってくる。「あの塔が崩れたら下にいる兵士が……!」なんて冷や汗をかきながらプレイする緊張感は他では味わえない。
30時間のキャンペーンと豊富なモード
『Cataclismo』にはフルボイスの本格的なキャンペーンモードが用意されており、約30時間をかけてアイリス様と共に世界の謎を解き明かしていく。ストーリーは予想以上に重厚で、絶望的な世界の中にも希望を見出そうとする人々の姿が丁寧に描かれている。

キャンペーン以外にも多彩なモードが用意されているのが嬉しい。際限なく押し寄せる敵と戦い続ける「サバイバルモード」、建築に専念できる「クリエイティブモード」、手作りのマップで戦略性を試す「スキルミッシュモード」など、プレイスタイルに合わせて楽しめる。
特にSteam Workshopとの連携が素晴らしく、他のプレイヤーが作った設計図をダウンロードして自分の要塞に組み込んだり、自作の傑作を世界に公開したりできる。「こんな構造思いつかなかった!」という驚きの建築アイデアが日々アップされているので、眺めているだけでも楽しい。

Steam Deck完全対応で、どこでも要塞建築
意外だったのが、このゲームがSteam Deckで非常に快適にプレイできること。複雑な建築システムがタッチ操作でもストレスなく動作し、携帯機でじっくりと要塞作りを楽しめる。電車での移動中に「今日はどんな要塞を作ろうかな」なんて考えながらプレイするのが最近の日課になってしまった。
コントローラー対応もばっちりで、マウス&キーボードじゃなくても全く問題なし。むしろ「ゲームパッドでこんなに細かい操作ができるのか!」と感心してしまうレベルの完成度だ。
創造性と戦略性が融合した唯一無二の体験
『Cataclismo』が提供してくれるのは、単なるタワーディフェンスでもない、普通のRTSでもない、全く新しいジャンルのゲーム体験だ。レゴブロックのような建築要素と、歯ごたえのある戦略バトルが見事に融合し、他では味わえない独特の面白さを生み出している。

最初は「ブロック一つ一つ置くなんて面倒だな……」と思っていた筆者も、気がつけば夜中まで「あと一つだけ、あと一つだけ……」と要塞作りに没頭してしまっている。これぞまさに「創造的中毒」とも言うべき魅力があるのだ。
建築好きな人はもちろん、RTS初心者から上級者まで、幅広い層におすすめできる傑作。人類最後の希望を託された気分で、あなたも要塞建築の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか?
基本情報
タイトル: Cataclismo
開発者: Digital Sun Games
パブリッシャー: Hooded Horse
プラットフォーム: PC(Steam)
価格: 3,980円
日本語対応: あり
Steam評価: 非常に好評(90%)
ジャンル: リアルタイムストラテジー、基地建設、タワーディフェンス
プレイ時間: 30時間以上(キャンペーンのみ)
Steam Deck対応: 検証済み
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