
“もう一回だけ…”そう呟いて気がつくと朝になっている
『Dead Cells』。2018年にMotion Twinから正式リリースされたこの2Dアクション・ローグライクゲームは、発売から6年経った今でも多くのプレイヤーを虜にし続けている傑作だ。筆者もその一人で、「今日はちょっとだけ」と思って始めたのが最後、気が付くと数時間が経過していることがザラにある。
Steamでは「圧倒的に好評」の評価を獲得し、累計500万本以上のセールスを記録。各種ゲームアワードでも高い評価を受け、インディーゲーム界の金字塔とまで呼ばれるようになった本作。その魅力を一言で表すなら「完璧なゲームプレイの快感」に尽きるだろう。

死ぬたびに強くなる、絶妙なバランスの進行システム
『Dead Cells』最大の魅力は、死んでもプレイヤーが前進している実感を得られる巧妙な仕組みだ。
ローグライクゲームの宿命として、死ぬとそれまでの進行が失われてしまう。しかし本作では「セル」と呼ばれる通貨を集めることで、永続的なアップグレードを購入できる。武器の設計図を持ち帰れば新たな装備がアンロックされ、次の挑戦がより楽しくなる。

筆者が最初にプレイした時は、ボス戦で何度も死んで心が折れそうになった。しかし死ぬたびに新しい武器が手に入り、体力上限が増え、ちょっとずつだが確実に強くなっていく。この「成長実感」こそが、プレイヤーを「もう一回だけ」という無限ループに引きずり込む魔力の正体だ。
流水のような操作感と戦闘の爽快感
本作をプレイしていて何より感動するのが、キャラクターの操作感の素晴らしさだ。ジャンプ、ダッシュ、壁蹴り、ロープアクション…すべての動作が滑らかに繋がり、まるで水が流れるように主人公が画面を駆け回る。

戦闘もまた素晴らしい。剣、鞭、弓、爆弾…100種類を超える武器はどれも独特の個性を持ち、組み合わせ次第で無数の戦略が生まれる。敵を空中でコンボしたり、罠を駆使して一網打尽にしたり、毎回異なるアプローチで楽しめるのが本当に気持ちいい。
特に印象的なのが「パリィ」システム。敵の攻撃を完璧なタイミングでガードすると、反撃のチャンスが生まれる。成功した時の爽快感は格別で、まさに「プレイヤースキルが直結する」手応えを感じられる。

毎回変わるダンジョンが生み出す飽きない面白さ
『Dead Cells』では、毎回異なるマップレイアウトでダンジョンが生成される。同じエリアでも壁の配置や敵の種類、宝箱の場所まで変化するため、何度プレイしても新鮮な発見がある。
さらに、複数のルートが用意されているのも素晴らしい点だ。最短ルートでボスを目指すか、じっくりと探索してアイテムを集めるか、あるいは高難易度エリアに挑戦するか…プレイヤーの好みや調子に合わせて選択できる。

筆者は慎重派なので、最初は安全なルートばかり選んでいた。しかし慣れてくると「今日は調子がいいから挑戦してみよう」と危険なエリアに足を向けるように。そこで手に入る強力な装備は、リスクに見合った価値がちゃんと用意されている。
美麗なピクセルアートが織りなす独特の世界観
本作のビジュアルも特筆すべき点だ。緻密に描かれたピクセルアートは、どこか懐かしさを感じさせながらも現代的な洗練さを併せ持つ。キャラクターのアニメーションは非常になめらかで、特に主人公の動きは見ているだけでも楽しい。

また、各エリアの雰囲気作りも秀逸だ。薄暗い監獄、毒々しい下水道、荘厳な時計塔…どのエリアも独特の美学に貫かれており、探索するだけで楽しめる。そしてBGMも素晴らしく、各エリアの雰囲気を完璧に演出している。
進化し続けるゲーム – DLCと無料アップデート
Motion Twinは本作を「生きているゲーム」として育て続けている。発売後も定期的に無料アップデートが配信され、新武器、新エリア、新システムが追加されている。

有料DLCも複数リリースされており、特に「Fatal Falls」「The Queen and the Sea」では全く新しいエリアとボスが追加される。そして話題の「Return to Castlevania」DLCでは、あの名作『悪魔城ドラキュラ』とのコラボレーションが実現。リヒターやアルカードといったおなじみのキャラクターでプレイできるという、ファンにとっては夢のような内容になっている。
なぜ『Dead Cells』は愛され続けるのか
本作がこれほどまでに愛される理由は、ゲーム作りの基本に忠実だからだ。「プレイして楽しい」「上達する喜び」「やりこみ要素の豊富さ」…ゲームに求められる全ての要素が高いレベルで実現されている。
難易度は確かに高い。何度も死ぬし、心が折れそうになる。しかし、それを乗り越えた時の達成感は格別だ。「昨日は勝てなかったボスを倒せた」「新しいコンボを見つけた」「今回は記録更新できた」…小さな成長の積み重ねが、プレイヤーを夢中にさせる。

また、プレイヤーコミュニティも非常に活発で、攻略情報の共有やスピードランの動画投稿など、発売から6年経っても盛り上がりを見せている。これも本作の魅力の証拠だろう。
まとめ:全てのアクションゲームファンに捧ぐ傑作
『Dead Cells』は、アクションゲーム、ローグライク、メトロイドヴァニア…複数のジャンルの良いとこ取りをした奇跡の作品だ。「とりあえず1回だけ」のつもりが気がつくと朝になっている、そんな中毒性を持つゲームは滅多にない。
Steam Deck対応により、いつでもどこでもプレイできるようになったのも嬉しいポイント。通勤中にサクッと1ランするのも良し、休日に腰を据えてじっくり攻略するのも良し。どんなプレイスタイルにも対応する懐の深さも本作の魅力の一つだ。

アクションゲームが好きな人、やりこみ要素のあるゲームを求めている人、そして「ゲームをプレイする楽しさ」を純粋に味わいたい人…全ての人にオススメしたい傑作。それが『Dead Cells』だ。
あなたも今夜、監獄からの脱出に挑戦してみてはいかがだろうか。ただし、時間を忘れてプレイしてしまう覚悟だけは持っておこう。
基本情報
タイトル: Dead Cells
開発: Motion Twin
販売: Motion Twin
配信日: 2018年8月7日
対応機種: Steam, Nintendo Switch, PlayStation 4, Xbox One, iOS, Android など多数
定価: 2,480円(Steam)
日本語: 対応済み
Steam評価: 圧倒的に好評(95%)