
解体ってただ壊すだけじゃないの?
『Deconstruction Simulator』というタイトルを初めて見た時、正直「建物をハンマーでガンガン叩いて破壊するだけの単純なゲームだろう」と軽く考えていた。しかし、実際にプレイしてみると……これが想像以上に奥が深い!単純な破壊ゲームかと思いきや、戦略性とビジネス要素が絶妙に絡み合った、まさに大人のシミュレーションゲームだったのだ。
Steam評価77%という高評価の理由が、プレイしてみて痛いほど理解できた。これは間違いなく、隠れた名作だ。

解体にも戦略あり!慎重派か豪快派かはアナタ次第
ゲームが始まると、まずは小さな解体契約から挑戦することになる。最初は「壁を一枚だけ取り除く」といった簡単な作業だが、ここで早くも『Deconstruction Simulator』の魅力に気づかされる。
というのも、ただがむしゃらに壊せばいいというわけではないのだ。なぜなら、解体した物品をリサイクルして売れるから。レンガや木材を丁寧に取り外せば高値で売れるが、ハンマーで豪快に叩き割ればただのガレキになってしまう。

この「丁寧に稼ぐか、豪快に時短するか」の選択が、プレイヤーを大いに悩ませる。
慎重に作業すれば一つ一つのアイテムを無傷で回収でき、リサイクル業者に高く買い取ってもらえる。しかし、時間がかかりすぎて効率が悪い。一方、ハンマーで豪快に破壊すれば作業は早いが、すべてがガレキになって買い取り価格が下がってしまう。
この絶妙なバランスが、プレイヤーの戦略性を刺激するのだ。
物理演算の爽快感が病みつきになる
『Deconstruction Simulator』の最大の魅力は、なんといってもリアルな物理演算だ。壁をハンマーで叩けば、石膏ボードが崩れ、内部の木材が露出する様子が非常にリアル。建物全体を解体用ボールで破壊する時の崩壊シーンは、思わず「おおお…」と声が出てしまうほど壮観だ。

特に印象的だったのは、古い家屋を丸ごと解体した時のこと。慎重に支柱を取り除いていくと、建物がまるで積み木のように美しく崩れていく。この瞬間の爽快感と達成感は、他のゲームではなかなか味わえない。
ただし、物理演算がリアルすぎて、時には予想外の事故も起きる。支柱を一本取り除いただけで建物全体が崩壊し、せっかく丁寧に取り外した貴重品が下敷きになってしまうことも…。そんな時は思わず「あちゃ〜」となるが、それもまた現実の解体業者の苦労を体験している気分になって面白い。
ビジネス経営要素が想像以上に本格的
単純な破壊作業だけでなく、解体業者としてのビジネス経営も『Deconstruction Simulator』の重要な要素だ。契約を選び、適切な機材をレンタルし、効率よく作業して利益を上げる。この経営シミュレーション部分が、ゲームに深い戦略性を与えている。

序盤は小さなハンマーと軽トラックでこじんまりとした作業をこなしていたが、利益を重ねることで倉庫を拡張し、大型車両を購入し、解体用ボールまでレンタルできるように。この成長実感がたまらなく気持ちいい。
しかし、経営は甘くない。解体用ボールのレンタル料が600ドルなのに、契約料が350ドルという赤字案件に遭遇した時は頭を抱えた。「なぜこんな契約を受けたんだ…」と後悔しつつも、リサイクル収入で何とか黒字に持ち込む必要がある。このリアルな経営の厳しさも、ゲームをより面白くしている要素の一つだ。
課題もあるが、それを補って余りある魅力
正直に言えば、『Deconstruction Simulator』には改善点もある。トラックへの積み込みが思うようにいかなかったり、アイテムの当たり判定が厳しすぎて効率的に積めなかったりと、操作面でのストレスを感じる場面もある。
また、契約地点が遠すぎて移動時間と燃料費が利益を圧迫することも。「こんな遠くの仕事を受ける意味があるのか?」と思わずにはいられない。
それでも、これらの課題を補って余りある魅力がこのゲームにはある。建物を解体する爽快感、戦略を練る楽しさ、ビジネスを拡大する達成感。これらすべてが絶妙に組み合わさって、独特のゲーム体験を生み出している。
Steam Deck対応で場所を選ばず解体三昧
嬉しいことに、『Deconstruction Simulator』はSteam Deckでもプレイ可能だ。感度の調整に多少課題はあるものの、文字の読みやすさに問題はなく、携帯モードでも十分楽しめる。電車の中で解体業者になるという、なんとも不思議な体験ができるのも面白い。

タッチスクリーンでの操作も必要な場面があるが、全体的には快適にプレイできる。「ちょっとした空き時間に建物を一軒解体しよう」なんて気軽に楽しめるのが素晴らしい。
解体業者体験の決定版
『Deconstruction Simulator』は、単純な破壊ゲームを期待していた私を良い意味で裏切ってくれた。戦略性、爽快感、経営要素がバランス良く組み合わさり、解体業者という職業の奥深さを疑似体験させてくれる。
77%という高評価も納得の出来栄えで、シミュレーションゲーム好きなら間違いなく楽しめる一作だ。建物を破壊することがこんなにも奥が深いとは…。ぜひ一度、解体業者の世界に足を踏み入れてみてほしい。

基本情報
タイトル: Deconstruction Simulator
開発: Hypnotic Ants
パブリッシャー: Games Incubator, PlayWay S.A.
プラットフォーム: PC (Steam)
リリース日: 2025年9月23日
価格: 通常価格1,700円(Steam)
プレイ時間: 20-50時間以上
難易度: 初心者向け〜中級者向け
Steam評価: やや好評 (77%)
日本語対応: あり
購入リンク:
公式リンク: