憧れの政府機関オペレーターになれる『The Operator』。現場じゃなくて”椅子に座る男”こそが主役だ

更新: 2025年10月3日
憧れの政府機関オペレーターになれる『The Operator』。現場じゃなくて”椅子に座る男”こそが主役だ

映画でよく観る「あのシーン」をついに体験できるぞ!

Steamで90%という高評価を獲得している『The Operator』。最初に見たときは「政府機関のオペレーター? 地味そうだな」と正直思った。アクション映画では華々しい銃撃戦を繰り広げる現場エージェントばかりが注目され、後方で支援する”椅子に座る男”なんて脇役でしかない。

しかし、実際にプレイしてみると、その考えは完全に間違いだった。『The Operator』は、オペレーターこそが主役であることを証明する傑作だったのだ。

二日酔いの新人オペレーター、事件に巻き込まれる

舞台は架空の政府機関「FDI(Federal Department of Intelligence)」。プレイヤーは新人オペレーターのイーヴァン・タナーとなって、現場のエージェントをサポートする役割を担う。

ゲーム開始時、主人公は二日酔いで朦朧とした状態。「気持ちを新たにして、二日酔いを乗り越えて初日を迎えろ」という上司の声とともに、慌ただしい一日が始まる。

最初の印象は「なんだかリアルだな」だった。実際の政府機関のコンピューターシステムのような、無骨で機能的なインターフェース。映画のようなカッコよさはないが、その分だけ本物感が漂っている。

映像解析から爆弾解除まで、オペレーターの仕事は多岐にわたる

『The Operator』の魅力は、オペレーターの業務がとにかく多彩なこと。単調な作業ではなく、毎回異なる種類の事件に対応していく。

監視映像の解析では、ぼやけた映像を「エンハンス」機能で鮮明にして容疑者を特定する。まさに映画で見る「画像を拡大してくれ!」のシーンを自分で体験できるのだ。データベース検索でナンバープレートから車の所有者を割り出したり、化学物質の成分分析を行って証拠を掴んだり。

特に印象的だったのが爆弾解除のサポート。現場のエージェントから「赤い線と青い線、どっちを切ればいい?」と緊迫した声で連絡が入る。手元の爆弾解除マニュアルと爆弾の写真を見比べて、一刻を争う状況で正しい指示を出さなければならない。

手が震えそうになるほど緊張した。現場にいないのに、この臨場感はすごい。

「信用するな」の警告が示す深い陰謀

ゲームが進むにつれ、単なる犯罪捜査ゲームではないことが明らかになってくる。ストアページにすら「だれも信用するな」という不穏なメッセージが表示されており、これが伏線になっているのだ。

最初は殺人事件や行方不明者の捜索といった一般的な事件を扱っていたのに、だんだんと政府内部の陰謀に巻き込まれていく。上司からの指示にも疑問を抱くようになり、真実を見極めることが困難になってくる。

特に中盤以降は、「この情報は本当に正しいのか?」「自分が調べている事件は本当に事件なのか?」と常に疑いながらプレイすることになる。オペレーターとしての判断力が試される場面が増え、緊張感が途切れることがない。

リアルな技術とインターフェースが没入感を高める

『The Operator』が他のゲームと一線を画すのは、その技術的なリアリティだ。登場するソフトウェアやデータベースは、実在の政府機関が使用していそうなレベルで作り込まれている。

顔認識システム、音声分析ツール、GPS追跡システム、化学分析装置など、現代の捜査機関が実際に使用している技術がゲーム内に再現されている。これらのツールを使いこなしていく過程で、本物の政府オペレーターになったような錯覚を覚える。

また、声優の演技も秀逸だ。現場エージェントとの無線通話は、まさにテレビの犯罪ドラマを見ているかのよう。緊迫した状況での指示や報告のやり取りが、ゲームの臨場感を大幅に向上させている。

約4時間の濃密な体験、しかし結末は……

プレイ時間は約4時間と短めだが、その分だけ内容が凝縮されている。ダラダラとした展開は一切なく、最初から最後まで緊張感を保ったまま進行する。

ただし、エンディングはかなり衝撃的なクリフハンガー。多くのプレイヤーが「続きが気になって仕方ない!」と感じるであろう終わり方をしている。これは賛否両論で、「短すぎる」「結末が不完全」という意見もある一方、「続編への期待が高まる」という声も多い。

個人的には、このクリフハンガーエンディングも含めて『The Operator』の魅力だと思う。現実の政府機関で働くオペレーターも、日々継続する事件や陰謀に対処しているはず。一つの事件が解決しても、新たな謎が生まれる。そんなリアルな政府機関の日常を体験させてくれる作品だ。

アルフレッドの方がバットマンより興奮する

『The Operator』をプレイしていて強く感じたのは、「アルフレッドの方がバットマンより興奮する」ということ。現場で銃を撃ったり格闘したりするよりも、後方で情報を分析し、的確な指示を出すことの方がスリリングだった。

現場のエージェントが危機に陥ったとき、手元のデータベースから救いの情報を見つけ出せたときの達成感は格別だ。「君のおかげで助かった!」という感謝の言葉を聞くたびに、オペレーターとしての誇りを感じる。

政府機関で働くことを夢見たことがある人、捜査ドラマが好きな人、パズル的な謎解きが好きな人には特におすすめしたい。Bureau 81が開発した本作は、「椅子に座る男」の魅力を最大限に引き出した傑作だ。

基本情報

タイトル: The Operator
開発: Bureau 81
パブリッシャー: Bureau 81, indienova
プラットフォーム: Steam, Epic Games Store
リリース日: 2024年7月22日
プレイ時間: 約4時間
日本語: 非対応
Steam評価: 非常に好評(90%)
価格: 1,600円

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