
集中力が切れたとき、画面の隅で「釣り糸」を垂らす贅沢。
2026年の今、僕らが求めているのは、気合を入れて挑む大作だけじゃない。作業の傍らで静かに成長し、時にはガッツリと熱中させてくれる『Fishing Inc』のような存在だ。 本作はクリッカーゲームの爆発力と、放置要素の快適さを完璧なバランスで融合させている。480円という缶コーヒー数本分の価格で手に入るのは、美しいピクセルアートの世界と、フィッシュログを埋めていく「終わりがあるからこそ美しい」至高の冒険だ。
釣りとアップグレードの中毒性
本作はBigBonk Studioが開発したインクリメンタル釣りゲームだ。プレイヤーは駆け出しの釣り師として、様々な釣り場を訪れ、魚を釣り上げ、売却した利益で装備をアップグレードしていく。このシンプルなループが驚くほど中毒性が高い。
釣りのメカニクスは至ってシンプル。画面をクリックして釣り糸を垂らし、魚が食いついたらゲージが満タンになる前にクリック連打で釣り上げる。最初は手応えのない小魚ばかりだが、装備を強化していくことで、徐々にレア度の高い魚、そして巨大な伝説級の魚が釣れるようになっていく。
この「成長実感」が本作の核心だ。たった数分前まで苦戦していた魚が、アップグレード後には簡単に釣れるようになる。その感覚が気持ちよくて、ついつい「次のアップグレードまで……」と時間を忘れてプレイしてしまう。
スキルツリーで戦略性がグッと広がる
本作の特徴的な要素がスキルツリーシステムだ。単なる数値のアップグレードだけでなく、釣りのスタイルそのものを変化させる様々なスキルが用意されている。
「Perfect Cast」で完璧なキャストを決めれば魚が食いつきやすくなり、「Reel Master」で巻き上げ速度が劇的に向上。さらに高レベルのスキルでは、特定のレア度の魚だけを狙い撃ちする能力まで解放される。このスキル選択によって、自分だけの釣りスタイルを確立できるのが面白い。

筆者は最初、バランス型のビルドで進めていたが、途中から「レア魚特化型」に路線変更。すると、それまで滅多に釣れなかった伝説級の魚が面白いように釣れるようになり、収益効率が劇的に改善された。こういった戦略的な選択の余地があるのが、本作を単なる「クリッカーゲーム」以上のものにしている。
多彩な釣り場とフィッシュログ
本作には複数の釣り場が用意されており、それぞれ異なる魚種が生息している。最初の穏やかな池から始まり、川、海、そして最終的には深海へと進んでいく。各エリアには固有の魚が生息しており、それらをすべて「フィッシュログ」に記録するのも本作の大きな目標だ。

フィッシュログはいわゆる図鑑機能で、釣った魚の情報が記録される。「Common(一般)」から「Legendary(伝説)」まで、魚にはレア度が設定されており、コンプリートを目指すとなるとかなりやり込み要素がある。筆者もプレイ開始から数時間後、気づけばフィッシュログの完成度が気になって仕方がない状態になっていた。
放置要素で「ながらプレイ」も快適
本作はクリッカーゲームでありながら、アイドル(放置)要素も充実している。一定の進行度に達すると、オフライン中も自動的に釣りを続け、収益を得られるようになる。この放置収益システムのおかげで、仕事や勉強の合間に起動して、貯まったお金でアップグレードする……という「ながらプレイ」が可能だ。
さらに、メインストーリーをクリアした後には「レア度選択機能」が解放され、特定のレア度の魚だけを狙って釣ることができるようになる。これにより、フィッシュログのコンプリートが格段に楽になり、エンドゲームのやり込み要素としても機能している。
カラフルなピクセルアートと心地よいBGM
本作のビジュアルは温かみのあるピクセルアート調で、カラフルで見やすいデザインになっている。魚のドット絵も種類ごとに丁寧に描き分けられており、釣り上げた瞬間に「お、これは見たことないやつだ!」という発見がある。

BGMも非常にチルで落ち着いた雰囲気。長時間プレイしていても耳が疲れない、絶妙なバランスに調整されている。作業用BGM的に流しながらプレイするのにも最適だ。
Steam評価92%の高評価
本作はSteamで484件のレビュー中92%が好評という高評価を獲得している(2026年4月時点)。レビューを見ると「シンプルだけど中毒性がある」「リラックスして遊べる」「予想以上にハマった」といったコメントが目立つ。

一方で、一部のプレイヤーからは「アップグレードの効果が微妙」「パッドが感じられない」といった批判もある。確かに、中盤以降はアップグレードの体感効果が薄れていくのは事実だ。しかし、開発チームはユーザーフィードバックに真摯に対応しており、定期的なアップデートで改善を重ねている。
実際、発売直後にはWebGL版でメモリリークの問題があったが、Steam版では完全に解消されている。また、要望の多かったSteam Cloud対応も現在ベータテストが進行中で、近日中に正式実装される予定だ。
開発者の情熱が詰まった一作
BigBonk Studioは小規模なインディースタジオだが、本作には並々ならぬ情熱が注がれている。itch.ioで公開されていたデモ版の段階から、コミュニティの声に耳を傾け、UI調整やバグフィックスを迅速に行ってきた。

Discord上では開発者が直接プレイヤーと対話しており、「進行速度が早すぎる」というフィードバックには「確かに中盤の調整をやりすぎたかもしれません」と率直に認め、次のアップデートで修正するという姿勢を見せている。こういった誠実な対応が、高評価につながっているのだろう。
結論:たった580円でこの中毒性
『Fishing Inc』は、通常価格580円で購入できる。この価格で、数時間から数十時間楽しめるインクリメンタルゲームとしては破格のコストパフォーマンスだ。
「クリッカーゲームは苦手」という人でも、本作の釣りという題材の親しみやすさと、程よい放置要素のおかげで入りやすいはず。逆に、『Cookie Clicker』や『Adventure Capitalist』のようなインクリメンタルゲームが好きな人なら、間違いなくハマる一作だ。
ただ一つ注意点を挙げるなら、本作には明確な「終わり」がある。メインストーリーをクリアし、フィッシュログを埋めてしまえば、それ以上のコンテンツはない。エンドレスに遊べる系のゲームを期待していると肩透かしを食らうかもしれない。とはいえ、その「終わり」までの道のりは十分に楽しく、満足度の高いものだった。
基本情報
開発: BigBonk Studio
販売: BigBonk Studio
リリース日: 2026年4月14日
価格: 580円(通常価格)
プラットフォーム: PC(Steam)
プレイ人数: 1人
言語: 英語、日本語、中国語(簡体字・繁体字)、その他多言語対応
ジャンル: カジュアル、クリッカー、インクリメンタル、釣り、シミュレーション
Steam評価: 圧倒的に好評(92% – 484件のレビュー)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/4126480/Fishing_Inc/
公式リンク
公式サイト: https://linktr.ee/bigbonkstudio
Discord: https://discord.gg/WkAQxsz
YouTube: https://www.youtube.com/@Davisstudiodev/videos


