ビリヤードとローグライクが融合した新感覚『Flick Shot Rogues』。おはじきゲームを舐めていた筆者が89%の高評価に納得した理由

ビリヤードとローグライクが融合した新感覚『Flick Shot Rogues』。おはじきゲームを舐めていた筆者が89%の高評価に納得した理由

あ、これヤバい。完全にハマった……

Steam Next Festでデモをプレイした際、正直に言うと「おはじきゲーム? なんか地味そう」という第一印象だった。しかし実際にプレイしてみると、そんな先入観は開始数分で粉砕された。『Flick Shot Rogues』は、まさに「見た目で判断してはいけない」ゲームの典型例だ。

ドイツの3人組スタジオButter By The Fishが開発した本作は、ビリヤードのような物理演算とローグライクの戦略性を見事に融合させた、まったく新しいジャンルのゲームである。9月17日にリリースされたばかりだが、すでにSteamレビューで89%という驚異的な高評価を獲得している。

「ただのおはじき」から「戦略的物理パズル」への衝撃的転換

最初は「キャラクターをマウスで弾いて敵に当てる」というシンプルなシステムを見て、子供向けのカジュアルゲームだと思い込んでいた。しかし、実際に手を動かしてみると、この認識がいかに浅はかだったかを思い知らされる。

本作の核心は「角度計算」にある。壁での跳ね返り、敵の配置、キャラクターごとの特殊能力を全て考慮した上で、一撃で複数の敵を倒すトリックショットを狙う。これが予想以上に奥深く、まるで3Dビリヤードをプレイしているかのような戦略性を要求される。

特に感動したのは「Froggomancer(カエル術師)」というキャラクターの存在だ。このキャラクターは移動しながらカエルを収集し、それらを敵に向けて発射するという独特な能力を持つ。最初は「なんだこの変なキャラは」と思ったが、使いこなすと信じられないほどの連鎖攻撃が可能になる。

Steam Deckで完璧、物理演算の爽快感が手のひらに

本作の魅力の一つは、Steam Deck Verifiedに対応していることだ。実際にSteam Deckでプレイしてみると、携帯機での物理演算ゲームとしては理想的な仕上がりになっている。

ディスクが敵に衝突する瞬間のインパクト音、画面を揺らすスクリーンシェイク、そして爆発エフェクトが組み合わさった時の爽快感は、まさに「触感的満足感」という表現がぴったりだ。Engadgetのレビューでも「キャラクターのディスクを敵に叩きつけて連鎖反応を起こす触感が、他のターン制ゲームよりもアクティブで魅力的に感じられる」と評価されている。

毎回異なるビルド構築、呪いシステムが生む究極の選択

ローグライクとしての本作の真価は、豊富なアイテムとタレントシステムにある。各ランでは2体のキャラクターを選択し、それぞれに1つずつトリンケット(装身具)を装備できる。

特に印象的だったのは「フルシールド時に攻撃力50%増加」のトリンケットを3つ重ね掛けした時の破壊力だ。初回攻撃が150%のダメージボーナスを得るため、開幕の一撃がゲームの流れを決定づける。この瞬間、「おはじきゲーム」は完全に「戦略的コンバット」へと変貌する。

さらに興味深いのは「呪い」システムだ。強力な効果と引き換えに何らかのデメリットを受け入れるこのシステムは、リスクとリターンのバランスを絶妙に調整している。ガラスキャノン型のビルドを組む時の緊張感は、他のローグライクでは味わえない独特なものだ。

唯一の不満点は「敵の行動予測」の不透明さ

89%の高評価を得ている本作だが、完璧ではない。最も気になるのは、敵の次の行動が読みづらい点だ。特に黄色いディスクのボスが突然テレポートする場面では、事前の予測が困難で戦略的な判断を阻害することがある。

この問題について、複数のレビューで「敵のターン順序や攻撃パターンの情報が不足している」との指摘があり、開発側もアップデートで改善を図っているようだ。

海賊テーマの世界観、日本のユーザーにも高評価

本作の舞台は海賊をテーマにしたトロピカルな島々で、カニ、サル、イカなどの海洋生物が敵として登場する。日本のユーザーからも「モンスト風おはじきローグライクゲーム」として親しまれており、特にTwitterでは「ぶつかった時の演出がめっちゃ気持ち良い!」との感想が多数見られる。

4Gamerの紹介でも「考え、狙い、撃つ!テーブル上でキャラクターをはじく爽快感と、ターン制ローグライクの戦略的な奥深さを融合したゲーム」として紹介されており、日本のゲーマーにも確実に浸透している。

結論:物理演算ローグライクの新たな可能性

『Flick Shot Rogues』は、一見シンプルな物理演算ゲームでありながら、その奥に驚くべき戦略性を秘めている。Roguelikerの評価にもある通り「物理ベースのゲームでコンボを決めたい人には、とっておきの技がある」作品だ。

各ランは約1時間程度で完結するため、忙しい日常の隙間時間にも最適。「あと1回だけ」の中毒性も十分に備えている。現在Steam で10%オフセール中(1,700円→1,530円)なので、物理演算ゲームやローグライクに興味のある方は、ぜひこの機会に体験してほしい。

おはじきゲームを侮っていた筆者が、完全にその魅力に屈服した稀有な作品。89%の高評価は決して偶然ではない。


基本情報

タイトル: Flick Shot Rogues
開発: Butter By The Fish
パブリッシャー: Noodlecake
リリース日: 2025年9月17日
プラットフォーム: PC (Steam)
価格: 1,700円(現在10%オフで1,530円)
日本語対応: あり
Steam評価: 非常に好評(89%)
プレイ時間: 1ラン約1時間

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