過小評価されすぎている協力ローグライク『Gatekeeper』。Risk of Rain 2好きなら絶対ハマる、カオス×爽快感の化身

更新: 2025年9月5日
過小評価されすぎている協力ローグライク『Gatekeeper』。Risk of Rain 2好きなら絶対ハマる、カオス×爽快感の化身

このゲーム、なぜ話題になってないのだ?

Steamで「Very Positive(85%)」という高評価を獲得しているにも関わらず、日本ではほとんど知られていない隠れた名作がある。それが『Gatekeeper』だ。

Risk of Rain 2のような見下ろし視点のローグライクシューターで、最大4人協力プレイに対応。「盗まれた時間の心臓(Heart of Time)」を取り戻すため、混沌の化身「Chaos」を追い、5つの惑星を舞台に機械の軍勢との激戦を繰り広げる作品である。

開発はGravity Lagoon、パブリッシャーはHypeTrain Digitalが担当し、2024年8月1日に正式リリース。早期アクセスから約1年3ヶ月をかけて完成度を高めてきた、インディースタジオ初のデビュー作だ。

「なぜ流行らない?」から始まったプレイ体験

正直に言うと、最初にSteamストアページを見たとき「これ、面白そうなのになんで誰も話題にしてないんだろう?」という疑問が先に立った。レビュー評価は高いし、協力プレイ対応のローグライクという魅力的な組み合わせ。なのに、配信者もプレイ動画も日本ではほとんど見かけない。

そんな疑問を抱きつつも、Risk of Rain 2で数百時間遊んだ身として「似たような体験ができるなら」と$15(約2,200円)で購入してみたのだが……これが予想以上のハマりゲームだった。

実際にプレイしてみると、確かにRisk of Rain 2の影響を強く受けているのは間違いない。しかし、単なるパクリではなく、独自の魅力と完成度の高さが光る作品に仕上がっている。

9つのゲートキーパーで織りなす多彩なプレイスタイル

本作の最大の特徴は、9種類の「ゲートキーパー」から選択できる豊富なキャラクタバリエーションだ。それぞれが全く異なるスキル構成と立ち回りを持っており、協力プレイ時の役割分担も明確に分かれる。

例えば、デフォルトキャラクターのHybridは復活能力を持つバランス型で初心者向き。一方、近接特化のキャラクターは一撃の威力が高いものの、敵の弾幕をかいくぐる技術が要求される玄人向けといった具合に、プレイヤーのスキルレベルに応じた選択肢が用意されている。

さらに、レベルアップ時に獲得できるスキル強化や、100種類以上存在する「アーティファクト」システムによって、同じキャラクターでも全く異なるビルドを構築できる。この組み合わせの妙こそが、本作の中毒性の源泉だ。

トライアドシステムが生み出す戦略的深さ

本作独自の要素として特筆すべきは「トライアドシステム」だ。3つのアーティファクトを組み合わせることで、単純な効果の足し算では得られない特別な効果を発揮するこのシステムが、ビルド構築に戦略的な深さをもたらしている。

例えば、「攻撃速度アップ」「クリティカル率向上」「範囲攻撃強化」の3つを組み合わせると、単なる数値強化を超えた相乗効果により、画面を覆い尽くす敵の大群を一瞬で薙ぎ払う爽快感を味わえる。

この組み合わせを考える楽しみは、まさに deck building系ゲームのそれに近い。毎回異なるアーティファクトが入手できるため、「今回はこのビルドで行こう」という戦略的思考が自然と生まれ、リプレイ性を大幅に高めている。

協力プレイこそ真骨頂

ソロプレイでも十分楽しめる作品だが、本作の真価は最大4人での協力プレイにある。それぞれが異なるキャラクターとビルドを選択し、連携を取りながら進む体験は、まさに「チームでクリアした」という達成感に満ちている。

特に終盤のボス戦「サイレン」との戦いは圧巻だ。巨大なボスが放つ多彩な攻撃パターンを、4人それぞれの役割に応じて対処していく様は、まるでMMORPGのレイドバトルのような戦略性を持つ。

一人が囮となって注意を引きつける間に、遠距離キャラが削り、近接キャラが一気に畳み掛ける……そんな連携が決まったときの爽快感は、ソロプレイでは絶対に味わえない特別なものだ。

Steam Deck完全対応で、いつでもどこでも

うれしいことに、本作はSteam Deck Verifiedに認定されており、ハンドヘルドでの快適なプレイが保証されている。実際に筆者もSteam Deckで何時間もプレイしているが、操作性に全く問題はなく、むしろ携帯機でサクッと一戦楽しめる手軽さが魅力的だ。

通勤中の電車内でソロプレイを楽しみ、家に帰ったらフレンドと協力プレイ……そんな使い分けができるのも現代的で素晴らしい。

唯一の不満点は「なぜ流行らないのか」

約30時間プレイした現時点で、大きな不満点は正直見当たらない。確かに超高難度での調整不足や、一部のアーティファクトのバランスに課題はあるものの、開発チームは積極的にアップデートを続けており、今後の改善に期待できる。

むしろ最大の不満は「なぜこんなに面白いゲームが日本で話題になっていないのか」ということだ。協力プレイ対応のローグライクを求めているプレイヤーは確実に存在するはずなのに、言語の壁や宣伝不足によって埋もれてしまっているのが実にもったいない。

本作をプレイしたとあるSteamレビューでは「so underrated(過小評価されすぎ)」というコメントが多数見受けられるが、まさにその通りだと思う。

ローグライク好きなら迷わず購入を

『Gatekeeper』は、Risk of Rain 2、Vampire Survivors、Roboquest……といったローグライク作品を楽しんだ経験があるプレイヤーには、絶対的にオススメできる作品だ。

特に「友達と一緒にワイワイ楽しめるローグライクが欲しい」という方には、これ以上ない選択肢と断言できる。$15という価格も、提供される体験の質と量を考えれば破格と言っていいだろう。

2024年のインディーゲーム界で、これほどまでに過小評価されている良作も珍しい。まずは無料のプロローグ版『Gatekeeper: Infinity』で体験してみて、気に入ったら本編を購入してみてほしい。きっと、筆者と同じ「なんでこれ流行ってないの?」という疑問を抱くことになるはずだ。

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