3D中世コロニーシムの決定版!セルビア発の野心作『Going Medieval』で描く、黒死病後の開拓物語

3D中世コロニーシムの決定版!セルビア発の野心作『Going Medieval』で描く、黒死病後の開拓物語

更新: 2026年4月4日

「中世の城を建てたい」──そんなロマンを抱いたことはないだろうか?

筆者が『Going Medieval』をプレイして最初に感じたのは、「これは単なる城づくりゲームじゃない」という驚きだった。疫病によって95%の人類が失われた14世紀の荒廃した大地で、生き残った開拓者たちを導き、小さな木造小屋から巨大な石造りの城へと発展させていく──その過程には、想像を超える苦難と、それを乗り越えたときの達成感が待っている。

ボクセル建築こそがすべて!

本作最大の特徴は、3D空間を自由に使った多層建築システムだ。『RimWorld』や『Dwarf Fortress』といったコロニーシムの傑作たちに敬意を表しながら、Foxy Voxelはそこに「高さの概念」を導入した。これが、どれほどゲームの幅を広げているか。

地上に頑強な城壁を築き、地下には食料貯蔵用の氷室を掘る。さらに上層階には見張り台を設置し、弓兵たちが襲撃者を迎え撃つ──こうした立体的な防衛設計が可能になることで、プレイヤーは真の意味で「自分だけの城」を創造できるのだ。

建築は驚くほど直感的だ。木材、石材、石灰岩、金属といった素材を選び、壁や床、屋根を配置していく。構造安定性の概念も導入されており、支えのない壁は崩壊する。まさに中世の建築家が直面したであろう課題を、ゲームとして体験できる。

さらに素晴らしいのは、建築作業そのものが見ていて楽しいこと。開拓者たちが木材を運び、金槌を振るい、壁が一つずつ形になっていく様子は、思わず見入ってしまう心地よさがある。

生存戦略は甘くない──四季と襲撃の脅威

しかし、美しい城を建てるだけでは生き残れない。『Going Medieval』が容赦ないのは、その厳しい生存要素にある。

春と夏のうちに食料を蓄え、冬に備えなければ開拓者たちは飢える。キャベツを栽培し、キャベツスープに加工する。狩猟で手に入れた肉を燻製にし、長期保存する。地下の冷涼な貯蔵庫に食料を収め、暖房用の薪を確保する──こうした準備を怠れば、一瞬で集落は崩壊する。

さらに、外界からは絶えず脅威がやってくる。ならず者、蛮族、宗教狂信者──彼らは容赦なく集落を襲撃し、物資を略奪しようとする。

ここで活きるのが、先ほどの立体建築だ。高い城壁を築き、梯子を登ってくる敵を上から迎撃する。罠を仕掛け、狭い通路に誘い込む。弓兵と剣士を組み合わせた防衛戦術を練る──こうした戦略性が、単なる建築ゲームを超えた深みを生み出している。

ただし、Steamレビューで一部指摘されているように、戦闘AIには改善の余地がある。弓兵が射程内の敵を無視したり、近接戦士が勝手に危険な場所へ突撃したりすることがある。それでも、この欠点を補って余りある魅力が本作にはある。

研究システムが秀逸──知識は物理的な「本」

『Going Medieval』で特に感心したのが、研究システムの独自性だ。

多くのゲームでは、研究は単にバーを満たすだけの作業になりがちだ。しかし本作では、研究とは「本を書くこと」なのである。

開拓者の中から最も知的な人物を選び、研究机に座らせる。彼らは実際に文章を執筆し、クロニクル(年代記)、教科書、論文といった異なる品質の文献を生み出す。そして、新しい技術を解き放つには、特定の種類と数の本が必要になる──例えば「石工技術」を研究するには、クロニクル3冊と教科書1冊が必要、といった具合に。

この仕組みのおかげで、研究という行為に物理的な重みと達成感が生まれる。書庫に整然と並んだ本の山は、集落の知的発展の証なのだ。

セルビアの情熱が生んだ5年間の進化

開発元のFoxy Voxelは、セルビアのノヴィ・サドに拠点を置く9人の小規模スタジオだ。2019年の設立以来、彼らは『Going Medieval』という一つの作品に全精力を注いできた。

2021年6月のアーリーアクセス開始から約5年──2026年3月17日、ついに正式版1.0がリリースされた。この間に追加された要素は膨大だ。宗教システム、地下室の水害、ネズミの襲撃イベント、グローバル評判システム、Twitchドロップ連携……開発者たちは、コミュニティの声に真摯に耳を傾け、ゲームを進化させ続けてきた。

特筆すべきは、100万本以上を売り上げた成功を収めながらも、開発チームが変わらず小規模体制を維持していることだ。創設者のVladimir ŽivkovićとNino Rajačićは、「自分たちが遊びたいゲーム」を作り続けるという初心を忘れていない。

セルビアのゲーム産業にとって、本作は歴史的な成功例となった。セルビア政府のイノベーション基金の支援を受け、英国のパブリッシャーMythwrightと組み、Steam、Epic Games Store、GOGでグローバル展開──まさに東欧インディーゲームシーンの希望の星である。

「完璧じゃないけど、やめられない」の魔力

正直に言おう。『Going Medieval』は完璧なゲームではない。

後半になると動作が重くなる。戦闘AIは時々理不尽な行動をする。コンテンツの深さでは『RimWorld』に及ばない部分もある。日本のSteamレビューでは「RimWorldの下位互換」という厳しい意見も見られる。

しかし、それでも本作にはもう一軒、もう一部屋」と建築を続けてしまう中毒性がある。立体的な城塞都市が形になっていく過程、開拓者たちが協力して冬を乗り切る姿、襲撃者を撃退したときの達成感──これらの体験は、欠点を補って余りある。

PC Gamerのレビュアーが語ったエピソードが象徴的だ。彼は「大きな穴を掘る」という単純な作業に夢中になり、Redmundという開拓者が軽傷から回復した後、なぜか療養に異常な執着を見せ始めた──そんな予測不能な出来事が、このゲームの魅力なのだ。

基本情報

開発: Foxy Voxel
販売: Mythwright
リリース日: 2026年3月17日
価格: 3.400円
プラットフォーム: PC (Steam, Epic Games Store, GOG)
プレイ人数: シングルプレイヤー
言語: 日本語対応
ジャンル: コロニーシム、ストラテジー、サンドボックス
Steam評価: 非常に好評 (89% – 20,283件のレビュー)

購入リンク

Steam: https://store.steampowered.com/app/1029780/Going_Medieval/
Epic Games Store: https://www.epicgames.com/store/en-US/p/going-medieval
GOG: https://www.gog.com/game/going_medieval

公式リンク

公式サイト: https://foxyvoxel.io/
X (Twitter):https://x.com/going_medieval
Discord: https://discord.gg/goingmedieval
Reddit: https://www.reddit.com/r/GoingMedieval/

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