「マネージャー解雇システム」が最高すぎる。ハム工場が大混乱の協力ゲーム『HAM: The Game』

「マネージャー解雇システム」が最高すぎる。ハム工場が大混乱の協力ゲーム『HAM: The Game』

更新: 2026年3月8日

ハムを運ぶだけ……のはずだった

「ハム工場の経営シミュレーション」と聞いて、筆者が想像したのは、のんびりと生産ラインを眺めながら効率化を楽しむ癒し系ゲームだった。しかし、『HAM: The Game』は違った。このゲーム、終わってる。良い意味で。

本作は最大4人でプレイできる協力型の工場管理ゲームで、2026年3月3日にLittle Bird Studiosが開発、Cathedral Studiosから正式リリースされた。Steam Next Festでデモ版が話題を呼び、リリース直後からSteam評価100%を記録している注目作だ。

プレイヤーたちは絶え間なく流れてくる「HAM注文」を処理するため、工場スタッフまたはマネージャーとして協力する。一見シンプルに思えるこのコンセプトが、プレイしてみると想像を遥かに超えるカオスを生み出すのだ。

物理演算が生み出す美しき混沌

本作最大の特徴は、徹底した物理演算システムだ。HAMの缶詰は「物体」として存在し、コンベアベルトから転がり落ちれば床に散乱し、プレイヤーが走れば蹴飛ばし、壁にぶつければバウンドする。

この物理演算が、ゲームプレイに緊張感と笑いをもたらす。筆者がプレイした初日、仲間が慌てて運んでいたHAMの山を誤って蹴り飛ばし、工場中に缶詰が散乱。その光景はまるでピタゴラスイッチの失敗版のようで、全員が「うわあああああ!」と叫びながら拾い集める羽目になった。

さらに悪夢的なのが「バナナの皮」だ。工場内のあちこちに落ちているバナナの皮を踏むと、見事に滑って転倒する。HAMを抱えているときに滑れば、当然すべてぶちまける。この仕様のせいで、緊張感のある配送シーンが一瞬にしてコントのような展開になるのだ。

マネージャーと労働者の微妙な関係

本作のユニークなシステムが「マネージャー/スタッフ」の役割分担だ。マネージャーは専用オフィスから工場全体を見渡し、コンベアベルトやHAMホッパーを操作する。一方、スタッフは工場フロアで実際にHAMを運び、壊れた機械を修理する。

この役割分担が絶妙に機能する。マネージャーが的確に指示を出せば効率的に作業が進むが、判断ミスをすれば現場は大混乱。そしてここからが本作の真骨頂で、1日の終わりにスタッフたちはマネージャーを「解雇」できるのだ。

この民主主義システムが最高におもしろい。無能なマネージャーに苦しめられたスタッフたちが投票で追放し、新たなマネージャーを選出する。筆者のプレイセッションでは、友人が初日でクビになり「俺は悪くない! お前らが遅いんだ!」と弁明する姿が見られた。ゲーム内の人間関係がリアルに影響するこのシステム、やばい(褒め言葉)。

近接ボイスチャット機能も秀逸で、マネージャーはインターホン越しに指示を出せる。現場の悲鳴がリアルタイムで聞こえる中、オフィスから叫ぶマネージャーの図は、まさに現代の企業風刺そのものだ。

エスカレートする狂気

初日は数件の注文を処理するだけで済むが、日を追うごとに難易度は急上昇する。注文数が増え、納期が短くなり、新しい設備が導入され、そして機械が次々と壊れ始める

コンベアベルトが停止し、HAMホッパーが溢れ、配送トラックは待ってくれない(一部は待ってくれるが)。このプレッシャーの中で、チームは連携を求められる。「セクション3のコンベアが止まった!」「ホッパーが満タンだ!」「トラック出発まで30秒!」といった叫びが飛び交う工場フロアは、まさに戦場だ。

さらに、各ステージには独自のギミックが用意されている。新しい工場レイアウト、複数のローディングベイ、色分けされた機械など、プレイヤーを飽きさせない工夫が満載だ。

企業の冷酷さを体験せよ

本作には「利益/損失」システムも搭載されている。HAMコンテナを無駄にすれば叱責され、日々の利益が減少する。破損品、無駄な製品、非効率な運営——すべてが収益に影響する。

この経営的視点が、ゲームにもう一層の深みを与えている。スピードを優先するか安全性を取るか、その判断が問われる。筆者のチームは「速度至上主義」を貫いた結果、利益がマイナスに転落し、全員で頭を抱えることになった。

終わらない地獄、最高の娯楽

本作の真の恐怖は「注文が止まらない」ことだ。『HAM: The Game』には明確なゴールがない。どこまで耐えられるか、何日間この狂気の生産ラインを維持できるか——それがすべてだ。

プレスリリースには「HAMが引き起こす大惨事の前に、あなたのキャリアが燃え尽きるまで」という不穏な一文があるが、まさにその通り。このゲームは勝利を目指すものではなく、崩壊するまでの時間を楽しむものなのだ。

初日は笑いながらプレイしていたが、5日目には全員が無言で機械的にHAMを運んでいた。そして10日目、ついにチームは崩壊し、工場はHAMの海に沈んだ。このやるせなさと達成感が同居する感覚、たまらない。

Steam評価100%(14件のレビュー)という驚異的な支持率も納得だ。現在は発売記念セールで通常価格920円が20%オフの736円(3月18日まで)となっており、今が買い時だ。

『HAM: The Game』は、協力ゲームとしての楽しさ、物理演算の面白さ、そして人間関係の試練が見事に融合した作品だ。友人と笑いながらカオスを楽しみたい人、パーティーゲームを探している人、そして職場のストレスを別の形で発散したい人に強くオススメしたい。

ただし注意してほしい。このゲームをプレイした後、リアルの職場で「マネージャー解雇投票」を実施したくなっても、筆者は一切責任を負わない。

基本情報

開発: Little Bird Studios
販売: Cathedral Studios
リリース日: 2026年3月3日
価格: 通常価格920円が20%オフの736円(3月18日まで)
プラットフォーム: PC (Steam)
プレイ人数: 1-4人(オンライン協力プレイ対応)
言語: 英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語など8言語対応
ジャンル: 協力型工場管理、パーティーゲーム、物理演算アクション
Steam評価: 圧倒的に好評 (100% – 14件のレビュー)

購入リンク

Steam: https://store.steampowered.com/app/4019090/HAM_The_Game/

公式リンク

公式Discord: https://discord.gg/9QuAcnTYQR

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