5分間でRPGの冒険が完結! 時間制限のプレッシャーが生み出すスリルと達成感『He is Coming』

更新: 2025年8月14日
5分間でRPGの冒険が完結! 時間制限のプレッシャーが生み出すスリルと達成感『He is Coming』

魔王復活まで、あと3日……

Steam で84%という高評価を誇る『He is Coming』。一見シンプルに見えるピクセルアートのローグライトRPGだが、プレイしてみるとその奥深さに驚かされる。「3日間で魔王のボスと戦う準備をする」というコンセプトが生み出す緊張感と、短時間でRPGの醍醐味を味わえる絶妙なバランスが話題を呼んでいるのだ。

なぜかクセになる、3日間の時間制限システム

『He is Coming』の最大の特徴は、ゲーム開始と同時に3日後に現れるボスが決まること。30体以上のボスの中からランダムで1体が選ばれ、プレイヤーはその情報を見ながら対策を練ることになる。

例えば「レイザークロウ・グリズリー」なら全ての装甲を貫通してくる。「ブラックナイト」なら攻撃力を吸収して自分のものにしてしまう。ボスの特性を見て「今回は装甲より体力重視だな」「魔法武器は危険だから避けよう」と、3日間の戦略を立てる瞬間がたまらない。

実際にマップを探索してみると、この時間制限が絶妙なプレッシャーを生み出していることがわかる。昼は比較的安全に探索できるが、夜になると視界が悪くなり敵も攻撃的になる。「あと1日しかないのに、まだ武器が弱い……」と焦りながらも、危険を冒して夜の探索に出かける判断が求められるのだ。

筆者も最初は「3日って短すぎない?」と思っていたが、実際にプレイしてみると、この短さこそが『He is Coming』の魅力だと実感した。時間が限られているからこそ、1つ1つの選択に重みが生まれ、宝箱を開けた時の喜びも格別になる。

オートバトルだからこそ際立つ、装備選びの戦略性

本作の戦闘は完全自動で進行する。プレイヤーは戦闘中に操作することはできず、事前に装備した武器やアーティファクトの組み合わせがすべてを決める。最初は「自動戦闘って物足りなくない?」と感じるかもしれないが、これが実に奥深い。

350種類以上のアイテムが用意されており、それぞれに独特な効果が設定されている。筆者が最近お気に入りなのは「サフランの羽」。スピードが高いと戦闘中に傷が回復するという効果で、素早さ重視のビルドとの相性が抜群だ。

特に興奮するのは、思わぬアイテムの組み合わせでシナジーが生まれる瞬間。毒ダメージを与えるアイテムと、毒状態の敵に追加ダメージを与えるアイテムを組み合わせた時の爽快感は、まさに「ハクスラの醍醐味」そのものだ。

オートバトルだからこそ、戦闘中はハラハラしながら自分のビルドの成果を見守ることになる。「この装備の組み合わせで勝てるだろうか?」という不安と期待が入り混じった感情は、通常のアクションゲームでは味わえない独特のスリルを提供してくれる。

レトロな見た目に隠された、現代的なゲームデザイン

80年代風のピクセルアートとブラウン管フィルターが特徴的な本作だが、その見た目に騙されてはいけない。ゲームデザインは非常に現代的で、プレイヤーのストレスを最小限に抑える工夫が随所に見られる。

まず、雑魚敵との戦闘はスキップできるため、テンポよくゲームが進む。死んでもアイテムやスキルはそのまま持ち越せるので、思い切ってリスクを取った探索ができる。1回のプレイも5分程度で完結するため、「ちょっとだけ遊ぼう」と思って始めても、気がつくと何時間も経っているという魅力的な中毒性がある。

PCゲーマー誌も「この5分間のRPG冒険に夢中になっている」と絶賛するほど、短時間でRPGの要素を凝縮した完成度の高さが評価されている。ポップコーンを食べるような感覚で手軽に楽しめる一方で、戦略性の深さも兼ね備えているのが見事だ。

挫折と成長を繰り返す、ローグライトの真髄

『He is Coming』は決して簡単なゲームではない。Steam レビューでも「RNG(運要素)に左右されすぎる」「ボスが強すぎて勝てない」という声も見受けられる。実際、筆者も最初の数回は3日目のボス戦で何度も敗北を喫した。

しかし、このゲームの真髄は「負けから学ぶ」ことにある。敗北するたびに新しいアイテムがアンロックされ、次回のプレイでより多様な戦略が取れるようになる。100個以上のユニークなチャレンジをクリアすることで、徐々に選択肢が増えていく仕組みだ。

特に印象的だったのは、10回目くらいの挑戦でようやく森のボスを倒せた時の達成感。それまで何度も失敗を重ねていただけに、勝利の瞬間は思わずガッツポーズが出てしまった。この「困難だからこそ味わえる達成感」こそが、多くのプレイヤーを虜にしている理由だろう。

早期アクセスならではの成長を楽しめる作品

現在の『He is Coming』は早期アクセス版だが、開発チームの Chronocle は積極的にコミュニティの声を聞いてアップデートを行っている。実際、プレイヤーからのフィードバックを受けてアイテムのバランス調整や新機能の追加が定期的に行われており、ゲームがリアルタイムで進化していく様子を体験できるのも魅力の一つだ。

特に注目したいのは「キングメイカーモード」。他のプレイヤーのキャラクターがボスとして登場し、自分のキャラクターも他のプレイヤーの挑戦相手になるという、セミマルチプレイ要素も実装されている。ソロプレイがメインでありながら、間接的に他のプレイヤーとの関わりを感じられる秀逸なシステムだ。

基本情報

タイトル: He is Coming

開発: Chronocle
販売: Hooded Horse

配信日: 2025年7月17日(早期アクセス)

定価: 1,480円(Steam)※セール時962円

言語: 日本語対応

プラットフォーム: PC(Steam)、PC Game Pass

対応: Steam Deck

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