
たかがおにぎり、されどおにぎり……
Steamのストアページで初めて『おにぎり屋さんシミュレーター』を見たときは、その愛らしいタイトルに思わず顔がほころんだ。おにぎりの専門店を経営するって、なんとも日本らしくて温かいコンセプトじゃないか。
日本の街角にある小さなおにぎり屋さんを、たったひとりで切り盛りしていく本作。プレイする前は「のんびりとおにぎりを握って、お客さんに渡すだけの癒しゲー」だろうと高を括っていた。が、まさかこんなにも奥が深くて忙しいシミュレーションゲームだとは、このとき夢にも思っていなかった。

ワンオペ店主の朝は早い!仕込みがすべて
ゲームが始まると、まずは開店前の準備から。シャッターを開けると時間が進み、お客さんが来てくれるようになるので、それまでに必要な仕込みをすべて済ませなければならない。
まずは仕入れ。おにぎりパック、紙袋、お米、のりといった基本的な材料から、梅、鮭、明太子、ツナマヨといった定番の具材まで、その日に使う分をきちんと発注する。これが意外に重要で、足りなくなって急遽追加注文すると割高になってしまうし、余らせれば廃棄ロスとなって利益を圧迫する。

次に仕込み作業。お米を炊いて、その日準備できるおにぎりを用意することになる。ここでのポイントは、ゲームが進むと様々な具材が解放されるということ。解放された時点でお客さんは注文してくるので、新しい具材が登場したら忘れずに仕入れないとアウトだ。
炊飯器から炊きあがったホカホカのご飯を取り出し、手のひらサイズに成形して、お客さんのリクエストに応じて具材を詰めていく。この一連の作業が、見ているだけで何ともほっこりする。特に鮭を焼く工程は香ばしそうな音まで再現されており、思わずおにぎりが食べたくなってしまう。

予想以上に忙しい!ワンオペの現実
いざ開店してみると、想像以上の忙しさに驚愕する。お客さんは次々と注文をしてくるし、その間にも新たなお米を炊いたり、揚げ物の準備をしたりと、やることが山積み。しかも本作では従業員を雇うシステムがないため、すべての作業を自分ひとりでこなさなければならない。
まさに「ワンオペ地獄」とも言える状況だが、これが妙にリアルで面白い。限られた時間とスペースの中で、どの作業を優先するか、どの順番で調理を進めるかを瞬時に判断する必要がある。頭をフル回転させながら手も動かし続ける、まさに現実のおにぎり屋さんの店主になったような感覚を味わえるのだ。

特にチャコールグリルを使った焼きおにぎりは手間がかかる上に、目を離すと焦げてしまう。慣れるまではオーダーが詰まったり、材料を無駄にしてしまったりと、てんやわんやの状態が続いた。だが、コツを掴んで効率よく回せるようになると、この上ない達成感を得られる。
サイドメニューも充実!天むすの完成度に感動
おにぎりだけでなく、サクサクのコロッケやアジフライといったサイドメニューも提供できる。中でも秀逸なのが、えび天ぷらを使った「天むす」だ。ふっくらとしたご飯に海老天を詰め込んで握る工程は、見ているだけでよだれが出そうになる。

フライヤーでの揚げ物調理も、油の温度管理やタイミングが重要で、単純に見えて実は奥が深い。揚げすぎれば焦げてしまうし、揚げが足りなければ美味しそうに見えない。リアルな調理体験を提供してくれる点は、本作の大きな魅力のひとつだ。
飲み物も各種取り揃えており、おにぎりと一緒に注文されることが多い。お茶、コーヒー、オレンジジュースなど、バリエーションも豊富で、どれも丁寧に再現されている。

効率化こそが成功への道
最初はもたもたしていた作業も、慣れてくると段々とスムーズになる。効率的なワークフローを確立することで、より多くのお客さんに対応できるようになり、売上もアップしていく。
ポイントは先読みだ。注文が入ってから調理を始めるのではなく、人気の具材は事前に準備しておいたり、混雑が予想される時間帯には多めに仕込んでおいたりといった工夫が重要になる。まさに現実の飲食店経営と同じような戦略性が求められるのだ。

在庫管理も奥が深く、各材料の消費ペースを把握して適切な量を発注する能力が問われる。余らせれば廃棄ロス、足りなければ機会損失となるため、絶妙なバランス感覚が必要だ。
最新アップデートで昆布おにぎりも登場
本作は継続的にアップデートが行われており、最近では「昆布おにぎり」が新たに追加された。また、ウルトラワイドモニター対応や各種不具合修正も実施されており、開発者の熱意を感じられる。

Steam評価は97%と驚異的な高評価を獲得しており、プレイヤーからの支持も厚い。特に「癒される」「思わずおにぎりが食べたくなる」「シンプルだけど奥が深い」といった声が多く見受けられる。
配信者にも大人気!見るだけでも楽しい
本作は多くの配信者やVTuberにもプレイされており、その様子を見ているだけでも十分楽しめる。ワンオペで奮闘する姿や、注文をさばききれずに慌てふためく様子は、見ていて応援したくなってしまう。
動画配信やライブ配信による収益化も許可されているため、気軽に配信することが可能だ。友人と一緒に観戦しながら「あ、そこでお米を炊けばよかったのに!」なんて会話をするのも楽しい。

総評:シンプルだけど奥深い、癒しのワンオペシム
『おにぎり屋さんシミュレーター』は、一見シンプルに見えて実は非常に奥深いシミュレーションゲームだ。おにぎりを握るという日常的な行為を通じて、効率的な作業フローや在庫管理の重要性を学べる教育的側面もある。
何より、プレイしていて純粋に楽しい。美味しそうなおにぎりを次々と作っていく過程は見ているだけでも癒されるし、お客さんが満足そうに商品を受け取ってくれる瞬間は、何とも言えない充足感を与えてくれる。
価格も980円(税込)と非常にリーズナブルで、コストパフォーマンス抜群。日本の食文化に根ざしたゲームとして、海外のプレイヤーにも新鮮な体験を提供してくれるだろう。
ストレス発散にも最適で、忙しい日常から少し離れて、のんびりとおにぎり作りに没頭するひとときは格別だ。「ゲームを終了した後、コンビニでおにぎりを買って帰りたくなる」という口コミも多く見られるが、まさにその通り。食べ物への感謝の気持ちも改めて感じさせてくれる、心温まる一作だ。
基本情報
ゲームタイトル: おにぎり屋さんシミュレーター
開発・販売: Yagni Lab
配信日: 2025年9月4日
プラットフォーム: PC(Steam)
価格: 980円(税込)
プレイ人数: 1人
日本語対応: あり
ジャンル: インディー、シミュレーション
Steam評価: 非常に好評(97%)
プレイ時間: 1日30分〜2時間程度
対応デバイス: キーボード・マウス、コントローラー
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