発売からわずか1ヶ月で450万本を突破し、Steamで大ブームを巻き起こしている協力登山ゲーム『PEAK』。93%の圧倒的好評レビューを獲得するこの話題作は、果たして本当に面白いのか?実際にプレイしてみた感想をお届けする。

謎の島からの脱出──シンプルながら奥深いコンセプト
『PEAK』は、Aggro CrabとLandfall Gamesが共同開発した協力登山ゲームだ。プレイヤーは飛行機の墜落で謎の島に不時着した自然探検隊として、島の中央にそびえる山の頂上を目指すことになる。
このゲームの魅力は、そのシンプルながら完成度の高いコンセプトにある。「みんなで山を登る」──たったそれだけの設定なのに、プレイしてみると想像以上に奥深く、協力プレイの醍醐味を存分に味わえる仕上がりになっている。
最大4人までのフレンド限定マルチプレイに対応しており、野良マッチングは存在しない。これは一見制約のように思えるが、実際にプレイしてみるとこの判断が正解だったと実感する。知らない人とのプレイでは味わえない、仲間との絆を深める体験がここにはある。
4つのバイオームが織りなす多彩な挑戦
山登りの道のりは決して単調ではない。Shore(海岸)、Tropics(熱帯)、Frost(氷雪)、Volcano(火山)の4つのバイオームが順番に立ちはだかり、それぞれが独自の障害と美しい景観を提供する。

Shore(海岸)では基本的な登山技術を学ぶことができる。ココナッツを集めたり、基本的なアイテムの使い方を覚えるチュートリアルとしてのステージといったところだろうか。
Tropics(熱帯)に入ると、雨による滑りやすい岩肌、毒を持つ植物の罠、そして絡みつくツタなど、自然の脅威が本格的に牙を剥く。雨が降り始めると岩が滑りやすくなるため、天候を読みながら登山計画を立てる必要がある。
Frost(氷雪)では寒さによる体力消耗が激しくなり、凍結ダメージという新たな脅威が登場する。仲間と身を寄せ合って暖を取ったり、焚き火の場所を見つけたりする協力プレイがより重要になってくる。
最後のVolcano(火山)では、これまでの全ての知識と技術が試される。溶岩の熱気、不安定な足場、そして最後の難関が待ち受けている。本ゲームでは最もプレイヤースキルが問われる場所である。

日替わりマップが生み出す無限のリプレイ性

『PEAK』の最も革新的な仕様の一つが、24時間ごとに変化するマップシステムだ。毎日午前2時に新しい地形が生成され、全世界のプレイヤーが同じ山に挑戦することになる。
この仕様により、「今日の山は難しかった」「あの崖の登り方、どうやった?」といった体験の共有がコミュニティで自然に生まれる。配信者や動画投稿者にとっても、毎日新しいコンテンツが提供される仕組みは非常に魅力的だ。
実際に筆者がプレイした際も、前日はスムーズに登れたルートが翌日には全く別の難易度になっており、常に新鮮な気持ちで挑戦できた。完全ランダム生成ではなく、14パターンのローテーションという情報もあるが、それでも十分な多様性を感じられる。
スタミナ管理が生む緊張感と協力の必要性

『PEAK』のゲームプレイで最も重要なのがスタミナ管理だ。登山にはスタミナが必要で、空腹、負傷、毒などの状態異常によってスタミナの上限が削られていく。
この仕様により、単独での無謀な登山は必ず失敗に終わる。仲間との協力が不可欠になり、「先に登った人がロープを垂らす」「怪我をした仲間を引き上げる」「食料を分け合う」といった自然な協力プレイが生まれる。
食料システムも秀逸で、生の果物よりも調理した食料の方が回復効果が高い。キャンプファイアを見つけたら、みんなで集まって調理タイムを楽しむのも『PEAK』の醍醐味の一つだ。
物理演算が生み出すコメディとドラマ
Landfallの得意とする物理演算システムが、『PEAK』に絶妙なユーモアとドラマを与えている。仲間を引き上げようとして一緒に落下したり、ロープの物理挙動で思わぬ方向に飛んでいったりと、プレイヤーの予想を超えた展開が次々と発生する。
特に印象深いのは、仲間が滑落する際の「Noooo!」という叫び声が山彦で響くシステムだ。これにより、遠くで起きた事故も音で把握でき、同時に臨場感も演出している。インディーゲームならではのシュールさも忘れていない。
価格以上の価値を提供するコストパフォーマンス
『PEAK』の定価は880円(税込)と、インディーゲームとしても手頃な価格設定だ。セール時には545円まで下がることもあり、この価格でこのクオリティは驚異的なコストパフォーマンスと言えるだろう。
1回のプレイで全バイオームをクリアするには2〜3時間程度かかるが、毎日変わるマップと高いリプレイ性により、数十時間は余裕で楽しめる。フレンドとの協力プレイを前提とした設計のため、一人で購入するよりも友達グループで揃えて購入することをお勧めする。

日本語対応で言語の壁なし
2025年7月11日のアップデートで正式に日本語対応が実装され、日本のプレイヤーにとっても遊びやすくなった。ゲーム内で読む必要のあるテキストは少ないものの、日本語対応により初心者でもストレスなく楽しめる。
ガイドブックやアイテムの説明が日本語で表示されるようになったことで、ゲームの理解度が格段に向上し、より深く楽しめるようになっている。
[まとめ] 協力プレイ好きなら絶対に体験すべき傑作!
『PEAK』は、シンプルなコンセプトを極限まで磨き上げた協力ゲームの傑作だ。450万本という驚異的な売上数字は、その完成度の高さを物語っている。
特に印象深いのは、プレイヤー同士の自然な協力が生まれるゲームデザインの秀逸さだ。「誰かを助けたい」「一緒に頂上を目指したい」という気持ちが自然と湧き上がってくる。また、毎日変わるマップシステムにより、常に新鮮な体験が得られる点も高く評価したい。同じゲームでも毎日違った楽しみ方ができるのは、現代のゲームにおいて非常に価値のある要素だ。
Twitchでの配信人気や、YouTuberによる実況動画の多さも、このゲームの魅力を証明している。「見ても楽しい、やっても楽しい」という両面を持つゲームは珍しく、『PEAK』が2025年のインディーゲーム界で最も話題になったタイトルの一つとなったのも頷ける。
もしあなたに一緒に山を登ってくれる友達がいるなら、『PEAK』は間違いなく購入すべきタイトルだ。880円という価格を考えれば、これほどコストパフォーマンスに優れた協力ゲームはそうそうないだろう。
山の頂上で仲間と共に見る景色は、きっとあなたの心に深く刻まれるはずだ。
『PEAK』
- 開発: Aggro Crab × Landfall Games
- プラットフォーム: Steam (PC)
- 価格: 880円(税込)
- プレイ人数: 1-4人(フレンド限定)
- 日本語対応: あり
- 発売日: 2025年6月16日