異星の大地で築く夢の基地『Prospector』。資源採取から自動化まで、一人前の宇宙プロスペクターを目指せ

異星の大地で築く夢の基地『Prospector』。資源採取から自動化まで、一人前の宇宙プロスペクターを目指せ

更新: 2025年9月14日

ひとりで作り上げたスペースオペラが、ここに完成した

「宇宙での資源採取ゲーム」と聞いて、複雑で難解なシステムを想像する人も多いだろう。しかし、Loonworks Gamesの新作『Prospector』は、そんな先入観を見事に覆してくれる。シアトルの一人の開発者Jacob Farnyが手掛けた本作は、ピクセルアートの温かみのあるビジュアルと直感的な操作で、誰でも気軽に宇宙探査の醍醐味を味わえる作品となっている。

2024年7月にSteamで正式リリースされた『Prospector』は、72%という好評価を獲得。「リラックスして遊べる」「自動化が楽しい」といったプレイヤーからの声が多く寄せられている。本稿では、この注目のインディー作品の魅力を詳しく紹介していこう。

酸素なき世界での基地建設

ゲームは主人公が異星の惑星に降り立つところから始まる。手に持つのは基本的な道具のみ。酸素のないこの惑星では、まず生存のための供給ラインを設置することが最優先となる。

この供給ライン(サプライライン)システムこそが、本作の大きな特徴の一つだ。プレイヤーは基地から伸びる酸素の供給範囲内でしか活動できないため、探索範囲を広げるには戦略的にラインを配置していく必要がある。まさに『Astroneer』を彷彿とさせるシステムで、限られたリソースでいかに効率よく活動範囲を拡大するかが問われる。

相棒ロボット「OPHELIA」との冒険

孤独な惑星での作業を支えてくれるのが、忠実なロボットコンパニオン「O.P.H.E.L.I.A.」だ。OPHELIAは単なる作業用ロボットではない。敵対的な野生動物や縄張り意識の強い種族から主人公を守ってくれる頼もしい相棒でもある。

レーザー銃を装備したOPHELIAと共に惑星を探索する体験は、まさに近未来のバディ映画を体験しているかのよう。危険な場面では的確に敵を排除し、平時には黙々と資源採取を手伝ってくれる。この絶妙なバランスが、本作に独特の安心感をもたらしている。

自動化システムの快感

本作の真骨頂は、段階的に構築していく自動化システムにある。最初は手作業で行っていた資源採取も、ゲームが進むにつれて様々なロボットに任せられるようになる。

コレクターボットは地面に落ちているアイテムを自動で回収し、近くのサイロに格納してくれる。ロジスティクスボット(Aviaryストラクチャー)は、サイロからアイテムを取り出し、無限モードに設定された建造物に投入したり、輸出用のエクスポーターに運んでくれる。

この自動化システムは決して複雑ではない。『Factorio』や『Satisfactory』のような大規模な工場建設ゲームと比べると、むしろシンプルで理解しやすい設計になっている。それでいて、自動化が完成したときの達成感は十分に味わえる。まさに「手軽に楽しめる自動化体験」と言えるだろう。

星間貿易で広がる世界

単なる資源採取ゲームで終わらないのが『Prospector』の魅力だ。集めた資源は遠方のコロニーに出荷することで、貴重な報酬と引き換えることができる。この星間貿易システムにより、プレイヤーの活動に明確な目標と達成感が生まれる。

さらに、他のコロニーとの協力関係を築くことで新たなブループリントや技術を獲得できるため、単調になりがちな作業にも常に新しい発見がある。まるで『Elite Dangerous』の貿易システムを地上ベースの建設ゲームに落とし込んだような感覚だ。

謎に満ちた惑星の探索

各惑星には古代遺跡や奇妙な生態系、隠された秘密が点在している。これらの発見は単なる装飾ではなく、ゲームプレイに実際の影響を与える要素として機能している。

古代の技術を解析することで新しい建造物のレシピを獲得したり、特殊な生物から希少な素材を入手したりと、探索すればするほど新たな可能性が開けていく。この「発見の喜び」は、『Subnautica』や『No Man’s Sky』といった探索系ゲームの系譜を受け継ぐものと言えるだろう。

ソロ開発者の情熱が生んだ傑作

本作を手掛けたJacob Farnyは、シアトルを拠点とするLoonworks Gamesの代表であり、『Prospector』は彼にとってのデビュー作品でもある。一人の開発者が作り上げたとは思えないほどの完成度と、細部への配慮が随所に感じられる。

特筆すべきは、プレイヤーからのフィードバックに対する迅速な対応だ。Steam のディスカッション掲示板では、開発者が積極的にユーザーの意見に耳を傾け、バグ修正や機能改善を継続的に行っている様子が確認できる。ある日本人プレイヤーがバグを報告したところ、なんと52分後にはパッチがリリースされたという逸話もあるほどだ。

初心者にも優しい設計

複雑に見えがちな宇宙探査・基地建設ジャンルだが、『Prospector』は初心者でも安心して楽しめる設計になっている。チュートリアルは分かりやすく、基本的な操作はマウスとキーボードで直感的に行える。

また、デモ版「Prospector: The First Contract」も無料でプレイ可能なため、購入前に実際のゲーム感覚を確かめることができる。94%という高評価を獲得しているデモ版は、本作の魅力を十分に伝える内容となっている。

まとめ:宇宙開拓の新たなスタンダード

『Prospector』は、宇宙を舞台とした基地建設・資源管理ゲームの新たなスタンダードを提示する作品だ。『Factorio』の自動化システムと『Astroneer』の探索要素、そして『Stardew Valley』のようなほのぼのとした雰囲気を見事に融合させている。

72%という評価は決して完璧ではないが、それは本作がまだ成長途中にあることの証拠でもある。定期的なアップデートにより、今後さらなる進化を遂げることが期待される。

宇宙での冒険に憧れを抱く人、自動化システムを手軽に楽しみたい人、そして心温まるピクセルアートの世界に浸りたい人。すべてのプレイヤーにとって、『Prospector』は新たな宇宙開拓体験への扉を開いてくれるはずだ。

基本情報

  • タイトル: Prospector
  • 開発: Loonworks Games (Jacob Farny)
  • 販売: HypeTrain Digital
  • 配信日: 2025年8月1日
  • 価格: 1,700円(Steam)
  • 言語: 日本語対応
  • プラットフォーム: PC (Steam)
  • ジャンル: リソース管理・ベースビルディング・サンドボックス
  • Steam購入リンクはこちらhttps://store.steampowered.com/app/1928080/Prospector/

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