クローンを使い捨て、宇宙で生き抜け! ダークSFの世界で無慈悲な脱出劇を繰り広げる『Quasimorph』

更新: 2025年8月11日
クローンを使い捨て、宇宙で生き抜け! ダークSFの世界で無慈悲な脱出劇を繰り広げる『Quasimorph』

容赦なき未来、容赦なき戦い

2023年10月、Steamの早期アクセスにひっそりと現れた『Quasimorph』。ぱっと見は「また脱出系ゲームか……」と思ってしまいがちだが、この作品の魅力は一筋縄ではいかない。ダークなSF世界観、クローンという設定、そして何より「死んだらすべてを失う」という無慈悲なシステムが組み合わさった、まさに硬派なゲーマー向けの一作となっている。

開発を手掛けるのはMagnum Scriptum。HypeTrain Digitalがパブリッシングを担当するこの作品は、ターン制RPGとローグライク、そして脱出シューターの要素を見事に融合させた野心作だ。

西暦2200年、宇宙は企業のもの

物語の舞台となるのは西暦2200年の太陽系。宇宙そのものが民営化され、大企業が利権を巡って血なまぐさい闘争を繰り広げている。プレイヤーは民間軍事会社(PMC)「マグナム」のボスとして、歴戦の傭兵たちのクローンを作成し、危険な任務へと送り込む。

クローンが無事に生還すれば、ミッション中に手に入れた物資を持ち帰り、依頼主からの信頼と名声を得られる。しかし戦死してしまえば、持ち込んだ装備も現地で拾い集めた貴重品も、すべてが水の泡だ。

そんな中、次元の亀裂から現れた「クアージモーフ」と呼ばれる謎の悪魔が人類に干渉を始め、状況はさらに混迷を極める。殺伐とした世界で如何にして宇宙に名を上げるか──それを決めるのは、あなた自身の判断力にかかっている。

一手のミスが命取り 容赦なき戦術バトル

『Quasimorph』の戦闘システムは、見下ろし視点のターン制バトル。『XCOM』のような戦術性重視のシステムに、カバーアクションと詳細な傷システムが組み合わさっている。

戦闘では一発の銃弾が致命傷になりうる。被弾すれば部位ごとに傷を負い、出血や感染といった状態異常に悩まされることもある。包帯や消毒薬、鎮痛剤といった医療アイテムを使った手当ては生存に欠かせない要素だ。

武器は近接用のナイフから、ショットガン、ライフル、果ては重火器まで多岐にわたる。それぞれにアタッチメントによる改造が可能で、戦況に応じた装備選択が勝敗を分ける。

限られたインベントリ空間も大きな制約だ。弾薬、医療品、戦利品……何を持ち帰るかの判断が、PMCの経営を左右する。貪欲に物資をかき集めたくなるが、重量オーバーで動けなくなってしまっては元も子もない。

企業間の力学が織りなすダイナミックな世界

本作の魅力の一つは、プレイヤーの行動が太陽系全体の勢力図に影響を与える点だ。特定の企業から依頼を受け続ければ、その企業の影響力が増大し、より高性能な装備や技術へのアクセスが可能になる。

一方で敵対する企業からは狙われやすくなり、ミッション中により強力な敵部隊と遭遇する可能性も高まる。どの企業と手を組み、どこと敵対するかは慎重に判断したいところだ。

取引システムも独特で、通貨は企業ごとの専用クレジット制。依頼の報酬は基本的に現物支給で、余った分のみがクレジットとして支払われる。この制限により、単純にお金を貯め込むのではなく、物々交換を含めた複雑な経済活動が求められる。

クアージモーフォーシスの恐怖

ミッション中に蓄積される「クアージモーフォーシス」値も重要な要素だ。この数値が一定に達すると、次元の向こう側から恐ろしい悪魔たちが現れ始める。

通常の人間の兵士とは比べ物にならない脅威となる彼らから逃れるには、酒やタバコといったアイテムで進行を遅らせるか、早期脱出を図るかしかない。だが逆に、意図的にクアージモーフォーシス値を上昇させてボス戦を狙うという上級者向けの戦術も存在する。

理不尽ではない、ただ容赦がないだけ

Steam上では「理不尽」という評価も散見される『Quasimorph』だが、実際にプレイしてみるとそれは誤解であることがわかる。確かに説明が不十分な部分もあり、メカニクスを理解するまでは苦戦を強いられるだろう。

しかし、システムを把握し、適切な装備と戦術を身につければ、生存率は格段に向上する。むしろ、プレイヤーのミス一つが命取りになる緊張感こそが、本作最大の魅力と言える。

難易度は高めだが、設定で調整も可能だ。MODサポートにより、インベントリを拡張したり、難易度を細かくカスタマイズしたりすることもできる。自分に合った難易度で、じっくりとこの無慈悲な世界を楽しんでほしい。

早期アクセスの現状と今後

現在の最新版は0.95となっており、開発チームは定期的なアップデートを続けている。メジャーアップデート「United We Stand」では、新たな派閥システムや強化要素、ランダムイベントなどが追加され、ゲーム体験がさらに充実した。

Steam上では80%を超える高評価を獲得しており、特にハードコアなローグライクファンからの支持を集めている。一方で、チュートリアルの改善やバランス調整を求める声もあり、開発陣も積極的にコミュニティのフィードバックを取り入れている。

『Quasimorph』は、容赦ない世界観と奥深いゲームプレイが見事に融合した、硬派なSFローグライクだ。一度ハマれば、クローンの屍を積み上げながらも、なお宇宙の深淵に挑み続けたくなることだろう。

死と隣り合わせの緊張感を味わいたいなら、ぜひこの無慈悲な未来へと足を踏み入れてみてほしい。

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