手に汗握るタクティクス&大群防衛が最高に楽しい『The Last Spell』。魔法の世界に終止符を打つ、ローグライト戦略RPGの傑作

更新: 2025年8月13日
手に汗握るタクティクス&大群防衛が最高に楽しい『The Last Spell』。魔法の世界に終止符を打つ、ローグライト戦略RPGの傑作

この難易度、この緊張感……たまらない!

筆者が最初にThe Last Spellのトレーラーを見たとき、正直なところ「またよくある戦略RPGかな」という印象だった。しかし、いざプレイしてみると、その予想は見事に裏切られることになる。

ターン制戦略RPGとタワーディフェンス、そしてローグライト要素が絶妙に融合したThe Last Spellは、一度ハマると抜け出せない中毒性を持つ作品だ。Steam上で91%という驚異的な高評価を誇る本作の魅力を、じっくりと紹介していきたい。

ストーリーの背景:魔法が世界を滅ぼした

The Last Spellの世界観は、一般的なファンタジーRPGとは一線を画している。長年続いた戦争を終わらせるため、魔術師たちは究極の魔法「カタクリズム(大災害)」を発動。しかし、その結果として世界のほとんどが破壊され、紫の霧に覆われた荒廃した大地に、夜になると血に飢えたミュータントの大群が押し寄せるようになってしまった。

プレイヤーは、この呪われた世界から魔法そのものを消し去るため、「最後の呪文(The Last Spell)」を詠唱する魔術師たちを守る英雄の一団を指揮する。数日間の詠唱を守り抜けるか、それとも闇に飲み込まれるか——すべてはプレイヤーの戦術にかかっている。

昼は準備、夜は戦闘の濃密なサイクル

本作の最大の特徴は、昼夜のサイクルシステムだ。昼間は「準備フェーズ」として、英雄たちの装備を整え、街の防衛設備を構築し、次の夜への備えを行う。そして夜になると「戦闘フェーズ」が始まり、四方八方から押し寄せる敵の大軍と、手に汗握るターン制バトルを繰り広げることになる。

この昼夜のメリハリが実に見事で、昼間の準備時間は次の戦闘への期待と不安を高め、夜の戦闘では一手一手が生死を分ける緊張感を味わえる。特に、敵が数十体、時には100体を超える規模で襲来する光景は圧巻だ。

武器とビルドの多様性が戦略を深める

The Last Spellでは、槍、剣、弓、銃、魔法の杖など、多彩な武器が用意されており、それぞれが独自のスキルセットを持っている。しかも本作にはクラス制限がなく、どの英雄でもどの武器でも扱うことができる。

例えば、一人の英雄を「銃を使う魔法使い」として育成することも、「回復魔法を使える重戦士」にすることも可能だ。武器、防具、装身具、さらには数多くのパークや特性を組み合わせることで、文字通り無限通りのビルドが生まれる。

筆者も最初は弓使いとして育てていたキャラクターが、レジェンダリーの両手剣を拾ったことをきっかけに、いつの間にか前衛の切り込み隊長になっていた、なんてこともあった。この自由度の高さが、リプレイ性を大幅に高めている。

手強い難易度だからこそ得られる達成感

正直に言おう。The Last Spellは決して簡単なゲームではない。最初の数回のプレイでは、間違いなく全滅を経験することになるだろう。敵の数は圧倒的で、一つの判断ミスが連鎖的な崩壊を招く。

しかし、だからこそ面白い。失敗から学び、戦術を練り直し、英雄たちのビルドを調整して再挑戦する。そして、ついに難しいステージをクリアしたときの達成感は格別だ。この「困難だが公平」なゲームデザインは、近年のソウルライク作品にも通じるものがある。

ローグライト要素により、失敗しても永続的な強化要素やアンロックされる新しい武器・建物があるため、少しずつ確実に強くなっていく実感も得られる。

The Algorithmによる圧巻のサウンドトラック

本作のもう一つの魅力が、The Algorithmが手がけたサウンドトラックだ。プログレッシブメタルとエレクトロニックが融合したこの楽曲群は、緊迫した戦闘を盛り上げ、プレイヤーを興奮の渦に巻き込む。

特に大群の敵と戦っているときに流れる楽曲は、まさに映画のクライマックスシーンのような高揚感をもたらしてくれる。音楽だけでもプレイする価値があると言っても過言ではない。

長時間プレイにふさわしい作り込み

一つのステージをクリアするのに5〜10時間程度かかるThe Last Spellは、腰を据えてじっくりと取り組むタイプのゲームだ。しかし、その時間に見合うだけの密度と充実感が詰まっている。

各ステージには固有のボスが用意されており、それぞれ異なる戦術が求められる。また、アポカリプスレベルという難易度調整システムにより、上級者でも歯ごたえのある挑戦を楽しめるようになっている。

現在は日本語にも対応しており、言語の壁を感じることなくプレイできるのも嬉しいポイントだ。

戦略RPG好きには絶対おすすめの一作

The Last Spellは、戦略RPGというジャンルに新たな風を吹き込んだ傑作だ。ターン制戦略とリアルタイムの緊張感を両立させ、ローグライト要素による高いリプレイ性を実現している。

確かに難易度は高く、万人受けする作品ではないかもしれない。しかし、歯ごたえのある戦略ゲームを求めている人、XCOMやFinal Fantasy Tacticsのようなタクティクス系RPGが好きな人には、心からおすすめしたい。

一度その魅力にハマれば、きっと何十時間でもプレイし続けてしまうことだろう。The Last Spellは、戦略RPGというジャンルが到達した一つの頂点なのかもしれない。

基本情報

ゲーム名: The Last Spell
開発: Ishtar Games
パブリッシャー: The Arcade Crew、Gamera Games、DANGEN Entertainment
プラットフォーム: Steam、PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Switch
発売日: 2023年3月9日(早期アクセス版は2021年6月3日)
価格: 2,800円(Steam)
日本語対応: あり
プレイ時間: 60〜80時間以上
ジャンル: 戦略RPG、ローグライト、タワーディフェンス

Steam購入ページ: https://store.steampowered.com/app/1105670/The_Last_Spell/

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