
なにこれ、めちゃくちゃ面白いじゃん……!
Steam で 96% という驚異的な高評価を誇る『黄泉に落ちても麻雀』。タイトルを見た瞬間は「また変なゲームが出てきたな」程度に思っていたのだが、実際にプレイしてみると……これが想像を遥かに超える中毒性で、気づけば朝まで打ち続けていた。
開発は中国の Boxed Lighting Games が手がけ、麻雀 × ローグライク × デッキ構築という異色の組み合わせを見事に融合させた意欲作だ。「地獄に落ちた主人公が、麻雀で閻魔様たちに勝負を挑む」という突き抜けた設定も最高である。

麻雀なのに100兆点!? インフレの向こう側
本作最大の特徴は、なんといってもその「壊れっぷり」だ。通常の麻雜では数万点が大きな得点だが、『黄泉に落ちても麻雀』では数百万、数千万は当たり前。最終的には100兆点を超える得点を叩き出すことも可能という、もはや常識を完全に無視したインフレ具合である。
「そんなのもう麻雀じゃないでしょ」と思うかもしれないが、これが意外にもしっかりと麻雀のルールに基づいている。国士無双や大三元といった役はちゃんと存在するし、ツモ・ロン・リーチといった基本システムもきちんと機能している。
ではなぜここまでとんでもない得点になるのか? 答えは「牌霊」と「遺物」の存在にある。

牌霊たちと織りなす超戦略バトル
本作では、麻雀牌に宿る「牌霊」たちが仲間として戦ってくれる。これらの牌霊はそれぞれ固有のスキルを持っており、組み合わせ次第で信じられないような効果を発動する。
例えば、「この牌が和了に使われるたび、得点を2倍にする」という牌霊と、「手牌の枚数×10万点を追加する」牌霊を組み合わせると……もうお分かりだろう。数学的にありえない得点が次々と生まれていくのだ。
さらに「遺物」と呼ばれるアイテムも、この狂った世界観に拍車をかける。「すべての役の価値を100倍にする」「ツモのたびにランダムな牌を手牌に加える」など、もはやバランスという概念を完全に放棄した効果ばかり。でも、それがいいのだ。

ローグライクの緊張感と麻雀の戦略性が絶妙にマッチ
ゲームは地獄の各階層を巡りながら、様々な敵と麻雀勝負を繰り広げる構成となっている。敵を倒すたびに新しい牌霊や遺物を獲得でき、自分だけの最強デッキを構築していく過程がたまらなく楽しい。
「今回は防御重視で安定した勝利を目指すか、それとも一発逆転の大博打に出るか……」そんな戦略を練りながら、次第に強くなっていく快感は、まさに『Slay the Spire』や『バラトロ』といった傑作ローグライクに通じるものがある。
特に優秀なのが、失敗してもまた挑戦したくなるゲームバランスだ。「あの組み合わせを試してみたい」「今度はこの戦略で行こう」と、自然にリプレイ意欲が湧いてくる。これこそがローグライクゲームの醍醐味であり、本作はそれを見事に体現している。

中国文化と麻雀愛に溢れた世界観
本作のもう一つの魅力が、中国の冥界文化をベースにした独特な世界観だ。牛頭馬頭、四天王、そして閻魔様といったお馴染みの地獄の住人たちが登場し、それぞれ個性的なキャラクターとして描かれている。
孟婆茶屋で忘川茶を飲んだり、地府の各所を巡ったりと、中国神話に詳しくない人でも楽しめる程よい作り込み具合。何より、これらすべてが麻雀というゲームと自然に融合している点が素晴らしい。
開発チームの麻雀への愛情も随所に感じられ、「ただ奇抜なだけのゲーム」では決してない。しっかりとした麻雀の基礎があるからこそ、この突き抜けた世界観が活かされているのだ。

『バラトロ』ファンにも激推ししたい傑作
正直に言うと、最初は「どうせB級ゲームでしょ」と軽い気持ちでプレイし始めた。しかし、数時間プレイした時点で完全に認識を改めた。これは紛れもなく、2024年を代表するローグライクカードゲームの傑作である。
特に『バラトロ』や『Slay the Spire』にハマった経験がある人なら、間違いなく楽しめるはずだ。「カードゲーム × ローグライク × 圧倒的なインフレ」という組み合わせは、一度体験すると他のゲームでは物足りなくなってしまうほどの中毒性を持っている。
麻雀のルールを完全に理解している必要はない。基本的な役さえ分かっていれば、あとはゲームが自然に教えてくれる。むしろ「麻雀は難しそう」と敬遠していた人にこそプレイしてもらいたい。これほど麻雀の面白さを分かりやすく伝えてくれるゲームは他にないだろう。

将来性も期待大! 続々と追加要素が予定
現在は早期アクセス版として配信中だが、開発チームは積極的にアップデートを続けている。日本語ボイスの追加や、ギリシャ神話をテーマにした拡張コンテンツなども計画されており、まだまだ成長の余地を残している。
Steam のコミュニティでは連日のように攻略情報やコンボ紹介が投稿されており、プレイヤー同士の熱い議論が交わされている。「この組み合わせで1000兆点出せた!」みたいな報告を見ていると、自分も挑戦したくなってくるから困る。
価格も 1,900 円とお手頃で、この内容なら十分すぎるほどコスパが良い。むしろ「こんな値段で大丈夫?」と心配になるレベルだ。
地獄に落ちても、麻雀があれば大丈夫。そんな奇想天外な世界観と、練り上げられたゲーム性が見事に融合した『黄泉に落ちても麻雀』。ローグライクファンにも、麻雀ファンにも、そしてユニークなゲームを求めるすべての人にオススメしたい。
一度プレイすれば、きっと地獄の深淵まで麻雀を打ち続けることになるだろう。覚悟はいいか?
基本情報
タイトル: 黄泉に落ちても麻雀
開発元: Boxed Lighting Games
ジャンル: ローグライクカードゲーム
プラットフォーム: Steam(PC)
発売日: 2025年7月16日
価格: 1,900円
日本語対応: あり
プレイ時間: 1プレイ約1-2時間、やりこみ要素多数
Steam ストアページ: こちら