今夜のメニューが最強のデッキになる! 料理ミニゲームとカードバトルが奇跡の融合を果たした、至高のコージーRPG『Beastro』
「料理でデッキを構築する」って、どういうこと?
その一文を見たとき、筆者は正直首をかしげた。料理ゲームとカードゲームを組み合わせる……? どちらかのジャンルが薄まって、中途半端になるんじゃないか。そんな疑念を持ちながら起動した『Beastro』は、想像を超えた着地点を見せてくれた。キッチンとカードバトルが、これほどまでに自然につながるとは。

世界を救う鍵は、今夜のメニュー
舞台は「パロ・ポリ」という穏やかな村。職人や美食家たちが暮らすこの場所の外壁の向こうで、闇が静かに広がり始めている。凶暴なモンスターたちが土地を侵食し、人類最後の希望とも呼べるこの村を脅かしているのだ。
主人公は若き料理人「パンコ」。師匠が突如姿を消したことをきっかけに、村の食堂を切り盛りすることになる。しかし料理をするのは単なる日常業務ではない。パンコが腕を振るった食事を食べることで、村を守る冒険者「ケアテイカー」たちは力を蓄え、モンスターと戦う能力を手に入れるのだ。台所こそが、この世界の最前線なのである。

料理が、そのままカードになる
『Beastro』のゲームプレイは大きく三つのフェーズで構成されている。農場や野原での食材集め、ミニゲームを通じた料理、そしてカードバトルだ。これら三つが互いに密接に絡み合っているのが本作の最大の特徴である。
たとえば、キノコとハーブを使ってシチューを作れば、特定の属性を強化するカードがケアテイカーのデッキに加わる。魚料理ならば素早さに特化したカード群が、肉料理なら攻撃力重視のデッキが生まれる。「今日何を作るか」がそのまま戦略になるという設計は、プレイするたびに料理選びへの真剣みが増してくる。

料理のミニゲーム自体も多彩だ。野菜を刻む、鍋をかき混ぜる、焼き具合を調整するなど、料理ごとに異なる操作が求められる。初回登場時にコントロールのヒントが表示される親切設計で、失敗しても経験値が少し減るだけでゲームオーバーにはならない。「コージーゲーム」の名にふさわしい、失敗を罰しない温かさがここにある。
パペット劇場で繰り広げられるカードバトル
本作で特にユニークなのが、戦闘シーンの演出だ。ケアテイカーたちとモンスターの戦いは、パペット劇場スタイルの映像で表現される。人形劇のような素朴でファンタジックなビジュアルが展開され、ほかのカードゲームにはない「絵本の中にいる」感覚を味わえる。
バトルの仕組みはいわゆるデッキビルディングRPGだ。料理によって生成されたカードをプレイヤーが管理・強化し、ターン制で敵と戦う。各ケアテイカーはそれぞれ異なる特性を持ち、どの料理を誰に食べさせるかで戦局が大きく変わる。初心者でも遊びやすい難易度ながら、ボス戦では「手持ちのカードとモンスターの属性が噛み合わない」と感じる瞬間もあり、ほどよい歯ごたえも用意されている。
失敗しても報酬とリソースは手元に残り、より強くなってリトライできる。ローグライト的な「失敗が次の成功への糧になる」設計も採用されている点は嬉しい。

かわいいが、本物のゲームとして成立している
アートスタイルについて語らないわけにはいかない。パンコをはじめとするキャラクター、村の住民たち、モンスターに至るまで、すべてのビジュアルが温かみのある独自の絵柄で描かれている。特に「デリシュケン」と呼ばれる不思議な生き物たちは愛くるしく、なでるインタラクションには思わず顔がほころぶ。BGMも穏やかでリラックス効果が高く、長時間プレイでも疲れを感じさせない。
一方で、正直な評価として欠点も述べておきたい。フィールドの探索にダッシュ機能がないため、序盤は移動がやや単調に感じる場面がある。ファストトラベルも後半まで解放されないため、同じ道を何度も歩くことになりがちだ。また、メインキャンペーンのボリュームは約8〜15時間とコンパクトで、クリア後のコンテンツに物足りなさを感じるプレイヤーもいるかもしれない。
それでも、プレイ中に「何か強制されている」感じが一切ないのは美点だ。料理を工夫したくて食材を集め、いいデッキを作りたくて料理に精を出し、気づけばパロ・ポリの住民たちに愛着が湧いている。ゲームに没頭させる自然な引力がある。

Timberline Studioが描く、もうひとつのインディーの形
開発はアメリカのTimberline Studio。2020年の雪上犬ぞりナラティブゲーム『The Red Lantern』で知られるスタジオが、まったく異なるジャンルでの新作に挑んだのが本作だ。Kepler Ghostとの共同パブリッシングのもと、PC(Steam)、PS5、Xbox Series X|Sでリリースされ、Xbox Game Passにもデイワンで参入した。
Steamでのユーザー評価は 「非常に好評」(91%、345件) 。メタクリティックでも「料理とデッキビルディングが絶妙に融合した独創的な作品」として高い評価を受けており、こぢんまりとしたチームが作った作品とは思えないクオリティの高さがうかがえる。
コージーゲームが好きな人、デッキビルダーが気になるけれど難しそうで躊躇していた人、そして「ちょっと変わった仕組みのRPGを探している」人に、自信を持っておすすめできる一作だ。世界の運命を左右するメニューを、あなたも考えてみてほしい。

基本情報
開発: Timberline Studio
販売: Timberline Studio / Kepler Ghost
リリース日: 2026年6月11日
価格: 2,300円
プラットフォーム: PC(Steam)、PS5、Xbox Series X|S
プレイ人数: 1人
言語: 英語(日本語未対応)
ジャンル: コージーRPG、デッキビルダー、料理シミュレーション
Steam評価: 非常に好評(91% – 345件のレビュー)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/2417470/Beastro/
公式リンク
公式サイト: https://www.beastro.game/
X (Twitter): https://x.com/timberlinegames
- タイトル
- Beastro
- 開発
- Timberline Studio
- ジャンル
- コージーRPG / デッキビルダー / 料理シミュレーション / シングルプレイヤー
- 対応
- PC (Steam)・PS5・Xbox Series X|S
- 難易度
- 初心者向け
- Steam評価
- 非常に好評(91% – 345件のレビュー)
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