ゴミを拾うほど世界が汚れていく。1時間で世界を破滅させる放置ゲー『Garbage Growth』の背徳的な中毒性
「ゴミ拾いゲーム」と聞いて、環境にやさしい癒し系を想像したあなた。……その予想は、開始5分で完全に裏切られる。
『Garbage Growth』は、ソロ開発者 apepatrickdev が放つ、短編インクリメンタル(放置・クリッカー)ゲームだ。人々が落としたゴミを拾って金を稼ぐ——ここまでは健全。だが本作の恐ろしいところは、稼いだ金で世界をもっと汚す方向にしか進化しないことにある。たった655円で、あなたは地球を破滅させる中毒的な1時間を手に入れることになる。

「ゴミを拾う」から「ゴミを生み出す」への転落
最初はのどかなものだ。緑の草原にぽつぽつ落ちた紙くずをクリックで拾い、$40を稼ぐ。スキルツリーの「Pollution(汚染)」タブを開くと、最初のアップグレードが並んでいる——「Add people(人を増やす)」。
そう、本作の“成長”とは、街に人を、犬を、自転車を増やし、彼らにゴミをポイ捨てさせることだ。人が増えればゴミが増え、ゴミが増えれば拾って稼げる金が増え、その金でさらに人を増やす……。気づけばプレイヤーは、環境美化どころか、汚染を全力で「育てる(Growth)」 側に回っている。このタイトルの意味を理解した瞬間の、あの背徳的なニヤつきといったらない。

数字がインフレし、画面がゴミで埋まっていく快感
インクリメンタルゲームの醍醐味は、なんといっても「数字がバカみたいに伸びていく」あの感覚だ。本作はそれを、これでもかと味わわせてくれる。
序盤は$40だった所持金が、$6,888M(=約69億)になり、やがて$20,129T(兆)、そして$878,251B……と、単位が追いつかないほど跳ね上がっていく。それに比例して画面もどんどん賑やかになる。人、犬、ネズミ、自転車、飛び交うゴミ、噴き出す札束のポップアップ。もはや個々のオブジェクトが判別できないほど画面がゴミと数字で埋め尽くされていく様は、視覚的なドーパミンが止まらない。

拾う作業も、自分でクリックするだけではない。ネズミを雇えば自動でゴミを集めてくれるし、リサイクル業者(という名の汚染加担者)を増やせば放置でも金が湧く。能動的にクリックする楽しさと、放置で伸びる楽しさの両方が、テンポよく噛み合っている。
スキルツリーと、次々アンロックされる新エリア
やり込み要素として用意されているのが、広大なスキルツリーだ。汚染で得た通貨を注ぎ込み、収益倍率や新要素を解放していく。ロックされたノードが次々と開いていく感覚は、この手のゲームが好きな人ならたまらないはずだ。

さらに、草原を汚し尽くすと「Sea Area(海エリア)」が解放される。海に排水パイプからゴミを垂れ流し、警察やカモメ、果ては魚まで雇って(!)海洋汚染に精を出す。クジラが泳ぐ青い海が、みるみるゴミ袋だらけになっていく光景は、笑っていいのか泣いていいのか分からない。開発者はすでに次なるエリアとして「月」を予告しており、この狂気はまだ止まりそうにない。

不条理アップグレードの畳みかけが、このゲームの真骨頂
本作を単なる作業ゲーで終わらせていないのが、随所に仕込まれた不条理でブラックなユーモアだ。
アップグレードのラインナップを眺めているだけで笑ってしまう。「Add dog(犬を追加)」まではまだいい。だが「Add gorilla(ゴリラ)」「Add chad(マッチョ)」「Add Dying Dog(瀕死の犬)」「Add Tank(戦車)」、そして中身の分からない「Add ???」……。ネズミを雇って赤ちゃんをゴミ箱に投げ込ませたり、天使を召喚してゴミを祝福させたり。プレイヤーは自分がとんでもないことをしている自覚がありながら、次のアップグレードが気になって指が止められない。

「これ、さすがにやりすぎでは……?」という背徳感すら、そのままゲームの快楽に変換されてしまう。この「have we gone too far(行き過ぎたか?)」の感覚を意図的に演出してくるあたり、開発者の悪ノリが実に効いている。
気になる点も正直に
手放しで絶賛できるかというと、割り切りの必要な部分はある。
まず、ボリュームは非常に短い。フルクリア・実績コンプまで含めても、プレイ時間はおよそ1時間程度。開発者がパッチでペースを調整し、約47分から58分ほどに“延長”したというエピソードが、逆にこのゲームの尺の短さを物語っている。長く遊べる大作を期待すると、あっけなく終わってしまう。
また、インクリメンタルゲーム全般に言えることだが、中盤以降は「ひたすら数字を伸ばす作業」の反復になる。この単調さを「心地よい」と感じられるかどうかで、評価は大きく分かれるだろう。
とはいえ、655円という価格と、1時間で綺麗に完結するテンポの良さを思えば、これは十分すぎるコストパフォーマンスだ。ダラダラ続く放置ゲーに疲れた人にこそ、この「短くてバカバカしくて気持ちいい」設計は刺さる。

罪悪感すら娯楽に変える、良質なワンコインバカゲー
『Garbage Growth』は、技術的に革新的なわけでも、深遠なテーマを持つわけでもない。だが、「ゴミを拾うほど世界が汚れる」という一つの皮肉なアイデアを、インクリメンタルの快楽と不条理ユーモアで見事に調理しきった、良質なバカゲーだ。
Steam評価は「非常に好評」の91%。ソロ開発の小品ながら、多くのプレイヤーが「数字が伸びる快感」「カオスな演出」「バカげたアップグレード」を口々に絶賛している。
コーヒー一杯分の値段で、罪悪感すら娯楽に変えてしまう背徳的な1時間を。世界を破滅させる準備は、いいだろうか?
基本情報
開発: apepatrickdev
販売: apepatrickdev
リリース日: 2026年6月23日
価格: 655円
プラットフォーム: PC(Windows)
プレイ人数: 1人
言語: 日本語・英語・簡体中文ほか多言語対応(フルボイス対応)
ジャンル: インクリメンタル、放置・クリッカー、カジュアル、インディー
Steam評価: 非常に好評(91% – 172件のレビュー)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/4680930/Garbage_Growth/
- タイトル
- Garbage Growth
- 開発
- apepatrickdev
- ジャンル
- カジュアル / インディー / インクリメンタル / 放置・クリッカー / シミュレーション
- 対応
- PC (Windows)
- 難易度
- 初心者向け
- Steam評価
- 非常に好評(91% – 172件)
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