【レビュー】『Noun Town』——Duolingoの通知を無視した僕らが、ようやく出会えた「本当に遊べる語学ゲーム」

【レビュー】『Noun Town』——Duolingoの通知を無視した僕らが、ようやく出会えた「本当に遊べる語学ゲーム」

更新: 2026年5月31日

語学アプリを三日坊主で辞めた回数が、もう両手では数えられない。DuolingoのFriendly Reminder通知を「また来たか」と無視したことも、Ankiのデッキを作り込んで一週間で放置したことも、筆者にはある。「ゲームで語学を学ぶ」という触れ込みのソフトはこれまでも何本か試してきたが、正直なところ大半は「フラッシュカードにキャラクターを貼り付けただけ」だった。ならば、本当にゲームとして面白くて、しかも語彙が身につくものは存在するのだろうか——そう思って手を伸ばしたのが、SUPER HYPER MEGAが開発した『Noun Town Language Learning』だ。

ゲームだから続く、ゲームだから覚える

本作の舞台は、モノクロームに沈んだ小さな町だ。プレイヤーが外国語の単語を習得するたびに、その町に少しずつ色が戻ってくる。コーヒーショップで「coffee」という単語を学べばカフェに暖色が灯り、農場に行けば動物や農具の名前とともに緑が溢れ出す。この「学習=世界が色づく」というビジュアルフィードバックが、想像以上に強力なモチベーションとなる。パーセンテージやストリーク数ではなく、目に見えて豊かになっていく世界——それが「もう少しだけ進めよう」という気持ちを引き出してくれる。

対応言語は日本語・韓国語・中国語(普通話)・スペイン語(スペイン/メキシコ)・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ロシア語・ギリシャ語・エジプトアラビア語・英語の12言語。どれか一言語を極めるも良し、複数を切り替えながら遊ぶも良し。サブスクリプションなし、広告なし、買い切り一本で全言語にアクセスできる。

「間隔反復」をゲームに溶かし込む設計

本作の肝となるのが、間隔反復学習システム(SRS)だ。Ankiなど語学学習ツールで使われているのと同じ仕組みで、「今まさに忘れかけているタイミング」で単語を再び出題してくれる。苦手な単語は頻繁に登場し、すでに定着したものは出題頻度が下がる。退屈な暗記の繰り返しではなく、脳の記憶メカニズムに沿ったスマートな学習設計だ。

これがゲームプレイに自然な形で埋め込まれているのが本作の真骨頂で、フラッシュカードを見せられている感覚がない。町を探索して物に触れれば新しい単語が習得でき、ミニゲームをこなせばその単語が反復練習される。「勉強している」というより「遊んでいたら覚えていた」という感覚に近い。

カウンターに立って、お客さんに対応する

ミニゲームの中でも特に印象的なのが「ラーニングラッシュ」だ。プレイヤーはショップのカウンター越りに立ち、次々とやってくるお客さんが外国語でリクエストする商品を素早く探して手渡す。制限時間の中でハイスコアを競うこのモードは、語学学習とは思えないほどテンポよく、思わず「もう一回」と繰り返してしまう。

加えて、本作には音声認識機能が搭載されており、ゲーム内の16人のNPCに向かって実際にマイクで発音することができる。ただ選択肢を選ぶだけでなく、口に出して練習できるのは、特にスピーキングを強化したい人には大きなメリットだ。もちろん、マイクなしの選択入力でも遊べる。

ドクター・ラットクリフが込めた「語学は楽しくあるべき」という信念

開発元SUPER HYPER MEGAの共同創設者、Dr. Jack Ratcliffe氏は本作の1.0リリースに際して、「語学学習は強制されるものではなく、自分から選びたいものでなければならないと考えてNoun Townを作った」と語っている。本作はもともとKickstarterプロジェクトとして誕生し、Early Accessでプレイヤーのフィードバックを受けながら丁寧に育てられてきた。2023年11月に早期アクセスを開始し、2026年5月20日に正式リリースを迎えた本作は、シリーズ全体で20万人以上のプレイヤーを抱え、「Most Innovative App 2023 by Meta」を含む3つの賞を受賞。さらに7部門でノミネートされている。

Steamレビューは648件中86%が好評という「非常に好評」ステータス(2026年5月末時点)を獲得しており、教育ゲームとしては異例の高評価だ。

正式リリースで加わった「どこでも復習」機能

1.0リリースと同時に追加された「Noun Town Link」は、ゲームを起動しなくてもブラウザからSRSによる単語復習ができるサービスだ。スマートフォンやタブレットからnoun.town/linkにアクセスするだけで、ゲームで学んだ単語をすき間時間に復習できる。ゲームを開ける環境にない通勤中や休み時間でも学習を継続できるのは、地味に大きなアドバンテージだ。

また、すべての収録語彙を無料で閲覧できる辞書機能(noun.town)も公開されており、ゲームを購入前に学習内容を確認することもできる。さらに教育機関向けのエデュケーション版も同時リリースされており、語学授業への導入も視野に入っている。

語学ゲームとして正直なところ

もちろん万能というわけではない。本作で学べるのは主に名詞を中心とした1,000語以上の単語と表現であり、文法学習や長文読解を期待すると拍子抜けするかもしれない。語彙の土台を作る段階には非常に有効だが、中上級者には物足りなさを感じる場面もあるだろう。Steamの最近のレビューを見ると、正式リリース後の変化(価格変更など)への反応から「最近の評価はやや混在」という状況も見受けられる。

それでも、語学学習のハードルを下げ「気づいたら単語を覚えていた」という体験を設計した点は本物だ。Duolingoや単語帳に挫折し続けてきた人こそ、一度試してみる価値がある。


基本情報

開発: SUPER HYPER MEGA
販売: SUPER HYPER MEGA
リリース日: 2026年5月20日(早期アクセス開始:2023年11月2日)
価格: 1,980円
プラットフォーム: PC(Windows / Mac)
プレイ人数: 1人
言語: 英語・日本語・韓国語・中国語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ロシア語・ギリシャ語・エジプトアラビア語(12言語対応)
ジャンル: 教育・オープンワールド・カジュアル
Steam評価: 非常に好評(86% – 648件のレビュー)


購入リンク

Steam: https://store.steampowered.com/app/2313720/Noun_Town_Language_Learning/


公式リンク

公式サイト: https://noun.town/
Discord: https://discord.gg/3K3jWtCy3H
YouTube: https://www.youtube.com/@SUPERHYPERMEGA

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